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美加 五十嵐

『ことばの力を育む』

更新日:2020年3月21日

窪薗晴夫さんとの共著『ことばの力を育む』が出版されてから半年近くになります。おかげさまで、順調に読者を獲得しています。さらにうれしいことは、最近になって、小学校の外国語活動(実質的に英語活動)の一部に利用したいというかたからの連絡をたくさんいただくようになったことです。ほかにも利用できる素材はないかという問い合わせもあります。

そこで、みなさんにぜひ活用していただきたいのが、慶應義塾大学出版会のサイト内にある特設サイトです。 http://www.keio-up.co.jp/kup/kotoba/ そこには、音声教材、実践例、正誤表など、さまざまな情報が掲載されています。ぜひご利用下さい。

また、4月の出版直後に用意した文章があることに気づきました。以下、掲載します。

お待たせしました! 窪薗晴夫さんと書いた『ことばの力を育む』ができあがりました。もともと2月上旬の刊行を予告していたものですから、「いつできるのか?」という問い合わせを、著者や出版社宛にたくさんいただきました。いろいろ考えたのですが、学習指導要領の告知を待ってのほうがよかろうと判断し、このタイミングでの刊行となりました。一般の書店に並ぶのは連休前になるだろうということです。  この本は新しい学習指導要領で導入された小学校高学年における外国語活動のために準備したものです。ご存知のかたも多いと思いますが、わたくしは一貫して(どのような形にせよ)小学校英語の導入に反対してきました。その考えはいまでも変わっていません。しかし、外国語活動(現実的には、英語活動)という形での導入が決められてしまったという状況に対応するには、ただ反対を唱えているというだけでは十分ではありません。子どもたちや先生がたに、そして、小学校教育、学校教育全般に及ぼす悪影響を最小限に抑え、できれば、この災いを福に転ずる方策を練る必要があります。その努力の一環として用意したのが、この本です。

 この本のもくろみをごく簡単にまとめてしまえば、つぎのようになります。

子どもたちは母語の知識を無意識のうちに身につけている。だが,かれらはその豊かさと奥深さに気づいていない。この本は、子どもたちをことばの世界へ誘い,かれらが自らその隠された神秘を探る楽しさと出会う機会を与えるようとするものである。

 《でも》とお思いの方も多いでしょう。なんと言っても、「外国語活動」なのですから。  まさに、「でも」です。「外国語活動」と銘打たれてはいるものの、「新しい学習指導要領には、「日本語との違い」「言葉の面白さや豊かさ」「気付く」など、この本の基本理念やそれに近い概念がちりばめられているのです。  幸か不幸か、「英語ノート」というものが文部科学省から配布されることになっています。CDもついているそうですから、「外国語」「英語」の部分はそれに任せておけばよいのです。そもそも、英語教育の専門家でもない学級担任が、専門家でもむずかしい英語教育の、しかも、最初期段階の担当をさせられるのですから、子どもたちだけでなく、先生がたにとってもたまったものではありません。  わたくしの助言は、《教えようとしない。CDの音声に耳を傾け、あとは,子どもたちの感性にまかせて,先生がたは最小限の支援を行なえばよいのです》。  そして、ここからが本番。子どもたちと先生がたの共通の宝物である母語の力を活用するのです。そこで、われらが『ことばの力を育む』の登場となるという次第です。  また、学習指導要領を読むと、「言語活動」の充実、「言語感覚」の養成、「言語に対する関心や理解」の深化、「思考力」の育成、などの考えがあちこちに見られます。つまり、新しい学習指導要領では「ことばの力」の育成に教科横断的に取り組もうという基本姿勢があるのです。この点を考えると、この本は単に外国語活動の時間だけでなく、総合的な学習の時間や国語をはじめ、さまざまな教科で活用することが可能です。  版元の慶應義塾大学出版会の協力を得て、出版会のウェッブ・サイトに関連のページを作ってもらいました。そこには、この本の見本ページのほか、この本を副読本などとして利用する際に活用できる「ことばノート」と題するプリントがダウンロード可能な形で用意されています。音声ファイルも置いてあります。また、この本の活用事例も随時掲載する予定です。(このページは、この本がみなさんの目に触れ始めるころに運用を開始します。)  今後、共著者である窪薗さんらとともに講演会やシンポジウムなどを開くことも検討しています。  この本の理念はこの本だけで達せられたわけではありません。もっと広範なことがらについて、もっと教室で利用しやすい形で、教材作成をする必要があります。その意味では、この本はこれに続くであろう一連の著作物の第一弾に過ぎません。この試みに1人でも多くのかたが賛同下さり、外国語活動という災いを福に転じようではありませんか。  そうそう、わたくしの願いは、つぎの学習指導要領の改訂で、「外国語活動」が「ことば活動」に改められることです。  みなさんのご支援をお願いいたします。

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