『学問的知見を英語教育に活かす—理論と実践』

最終更新: 3月20日



野村忠央 / 女鹿喜治 / 鴇﨑敏彦 / 川﨑修一 / 奥井裕 編『学問的知見を英語教育に活かす—理論と実践』(金星堂)という本が出版されました。

https://www.kinsei-do.co.jp/books/1190/

https://www.amazon.co.jp/dp/4764711907


一般向けの学習書・啓発書ではなく、440ページもある、ハードカバーの装丁も立派な学術書です。したがって、税込みですと4,860円にもなってしまうのですが、(自分も寄稿しているので、多少、言いにくいのですが)その価値は十分にあります。一人でも多くの関係者に本書を手に取っていただきたいと思います。


学校英語教育の在り方を考えるとき、言語学、英語学、英語文学、教育学、心理学、認知科学、脳科学、計算機科学、哲学などで得られた学問的知見をできるだけ活用することが重要であることに疑問の余地はないと思います。ただ、問題は、学問的知見のどの部分を、どう活用するかで、実際にはなかなかむずかしい問題がたくさん出てきます。


言語学・英語学だけをとってみても、英語(外国語)教育との距離が非常に短かった構造言語学の時代に比べ、記述や理論の抽象度が増した現在の学問的知見を英語教育に活かすのは並大抵のことではありません。実際、この10年間を振り返っても、学問的知見を英語教育に活かそうという、書籍化された試みは少なくありませんが、成功した例を見つけるのは簡単ではありません。わたくしの見るところ、認知言語学の、比較的抽象度の低い研究成果の一部が限定的な効果を上げているのに過ぎません。本書はこうした状況に対する挑戦の書です。

第Ⅰ部は「特別寄稿」として、千葉修司さん、外池滋生さん、高見健一さん、遊佐典昭さんの各氏による論考と末岡敏明さんと大津の対話論考が掲載されています。第Ⅱ部「英語学」には10本の論考が、第Ⅲ部「英語教育学・英米文学・実践研究にも10本の論考が載っています。いずれも力作で、言語学・英語学の観点からも、英語教育の観点からも有益と言えます。 編者代表として「はしがき」を執筆した川﨑修一さんによると、「本書の出版企画の母体となっている欧米言語文化学会においても、この認識を共有する研究者が集い、2011年の第3回年次大会で〈シンポジウム〉「教室で生かす英語学」が開催され、その後、鴇﨑敏彦氏が発起人、奥井裕氏がコーディネーターとなって始まった〈連続シンポジウム〉「学問的知見を英語教育に活かす」に引き継がれました。そして、これらのシンポジウムで中心的役割を担っていた野村忠央氏を編集委員長として、女鹿喜治氏と川﨑を含めた5名が編者となり、本書の出版企画がスタートする運びとなった」ということで、両シンポジウムの詳細は本書の巻末にある参考資料「本シンポジウムの歩み」に記されています。 ここでどうしても記しておきたいのは編集委員のみなさんの本書出版へ向けた熱意と努力です。査読や校正段階ではじつに綿密な検討にもとづき、内容面でも、体裁面でも、著者として多くの有益な助言をいただきました。研究時間を確保するだけでも大変な努力を必要とする昨今の大学ですが、大学業務のかたわら、そのような献身的な努力を重ねられた編集委員のみなさんに大いなる敬意を表したいと思います。また、その熱意を受け留め、本書の出版を引き受けてくださった金星堂(代表取締役社長 福岡正人氏)に対して深い感謝の念を表したいと思います。

#本の紹介 #英語教育

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