2度目の休憩を挟んで、いよいよ、フェスティバルはクライマックスへと入っていく。
アメリカでは、クリスマスが近づくと、8歳のバージニアからの《サンタさんってほんとうにいるの? Is there a Santa Claus?》という質問に対して、ニューヨーク・サンの記者であったフランシス・チャーチが書いた回答が話題に上る。1897年のことである[i]。それをオーラル・インタープリテーションとして再現する。そして、さらには、現代風にアレンジされたパフォーマンスが続く。なんと、事業仕訳の蓮舫やアイススケートの浅田真央まで登場するのだ。ここでも適材適所、よくもまあ、こんなに多様で、多才な学生たちがいるものだと感心してしまう。だが、これももともとそういう学生がいたのではなく、近江さんが彼女たちの隠れた才能を引き出したに違いない。そして、学生たちがそれに応えた。そこには、最近あまり耳にすることがなくなった、大学教師と学生たちとの真の交流がある。
現代版アレンジの作品の中に、飛行機の客室乗務員版というのがあり、そこで「近江機長 Captain Omi」というセリフが飛び出す。まさに、近江機長操縦のジェット機でゆったりとオーラル・インタープリテーションの旅を楽しませてもらっているという風情だ。
キリスト教主義の短大らしく、キャンドル・サービスで雰囲気がさらに盛り上ったところで、フェスティバルは大団円を迎える。きっと終わった後は、涙、涙、なのだろうと勝手に想像していたら、大違いだった。すぐに、作品別の記念撮影が始まる。言うまでもなく、近江さんはひっぱりだこだ。
1時30分に始まったフェスティバルが終わったのが6時に近かったので、4時間半近くの長丁場であった。ところが、聴いていて、そんな時間の経過を意識することは一度としてなかった。それほど見事に構成されていたのである。近江さんの工夫の賜物である。
つまり、近江さんはこのフェスティバルの企画者であり、プロジューサーであり、ディレクターであるのだ。ついでに言えば、終幕近くには近江さん自身のパフォーマンスもあるので、演者でもある。
[i] Eight-year-old Virginia O’Hanlon wrote a letter to the editor of New York’sSun, and the quick response was printed as an unsigned editorial Sept. 21, 1897. The work of veteran newsman Francis Pharcellus Church has since become history’s most reprinted newspaper editorial, appearing in part or whole in dozens of languages in books, movies, and other editorials, and on posters and stamps.
http://www.newseum.org/yesvirginia/ “Yes, Virginia, there is a Santa Claus.”
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