シドニーにあるマッコーリー大学(Macquarie U)へ行ってきました。そこにあるARC Centre of Excellence in Cognition and Its DisordersのScientific Committee(7名)のメンバーとして「外部評価」をするためとワークショップで講演をするためです。 http://www.ccd.edu.au/events/conferences/2012/annual/index.html
このセンターは以前、アメリカのコネチカット大学やメリーランド大学に所属していたスティーブン・クレイン(Stephen Crain)が所長をしています。そのことから窺えるように、言語をその中心テーマの一つに据え、信念形成、記憶、読み、社会認知などを研究テーマとして取り上げています。
ワークショップでは、SCのメンバー(各60分)とセンターのメンバー(各20分)が研究成果を発表しました。いろいろな分野の研究があり、わたくし自身としては以前に慶應で波多野誼余夫先生と主宰していたCogLunchを思い出しました。
ポスター発表も含め、言語関係の発表は生成文法の枠組みの中での獲得や理解研究に関するものでしたが、言語以外の研究者にその意義を理解させるのは「わざ」が必要であることを再認識しました。わたくし自身の話では、まず、格の観点から日本語の基本構造について解説し、そのあと、獲得の話をしました。あまりたくさんの情報を盛り込みすぎないように気をつけたので、それなりに理解をしてもらえたと思います。
ワークショップの翌日はSCの会合でした。「外部評価」のためなのですが、まだセンターが始まったばかりでもあり、「評価」というよりも、「助言」に重点を置いた話になりました。内容については内部秘ということになっているので、公にはできませんが、オーストラリアの研究体制とか、諸外国での認知科学の研究体制とか、いろいろな点で新たな情報を得ることができ、とても有意義でした。そういえば、チョムスキーもSCのメンバーに入っているので、いずれ、ここで同席できるかと期待しています。(昨年、11月には来豪したそうです。)
1日だけ、シドニー観光をしました。博士論文を書き上げたばかりの赤木伸明さんに案内してもらいました。
我が連れ合いに言わせると、「あなたは外国へ行ってくると元気になって帰ってくる」ということです。今回も大いに元気になって戻ってきました。(そういえば、「元気をもらう」という言い方、なんだか抵抗があります。)
【追記】児玉が書いた、Jeff Lidzさんの集中講義の記事をご覧になった方は、そのとき、お前はオーストラリアにいたのか、とお気づきでしょう。そのとおりです。日程の調整をしたのですが、どうしてもJeffの都合とわたくしの都合が合わず、こうなってしまいました。Jeffの講義を聴けなかったのは残念ですが、わたくしがいなくても、きちんとJeffを迎え、講義を聴き、議論をし、酒を酌み交わすということができるようになった院生たちのことを非常に誇らしく思います。
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