トイレの語用論
更新日:2020年3月21日
わたくしの畏友に上野俊彦という銀行勤めだった人がいます。彼は言語感覚にも、文才にも優れ、『月刊言語』の休刊間際にはかなりの数のエッセイが投稿欄に掲載されました。 その彼が先週、仲間内のネット掲示板にこんな書き込みをしました。 — 以前、会社のトイレを使おうとした時のことである。個室に入り、座って前を見ると「トイレットペーパー以外のものを流さないで下さい」と大書してある。暫く逡巡した末、諦めて立ち上がって隣の個室を覗いてみたがそこにも同じ事が書いてある。仕方ないから諦めた。 しかし未だに不思議に思うのだがトイレに「トイレットペーパーを流す」ことだけが目的で入る人間が果たしているのであろうか。本当にトイレットペーパー以外のものは何も流さないのであろうか。本当に不思議である。 — さすが!と思いつつも、これは語用論の試験問題に使えるなと商売根性から抜け切ることができずにいたら、これまた、すばらしい言語感覚の持ち主である先輩、丸山公洋さんというかたがこんな書き込みで追いかけた。 — 個室に入り、涙をひそかに流しているサラリーマンが結構いる、と聞きます。 — うーん、脱帽ですね。 *** こういうことに関心のあるかたは「トイレットペーパー以外の」でGoogle検索をかけてみてください。おもしろい情報がたくさん集まります。