きょう(2013年6月24日)付の毎日新聞朝刊に以下のインタビューが掲載されました。
「くらしナビ・学ぶ: 入試へTOEFL導入など 大学の選択の幅広がる 自民党教育再生実行本部本部長・遠藤利明衆院議員に聞く」
英語教育についての言及もあります。
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●英語教育改革
−−英語教育について。 ◆今まで何度も変えようとして変えられなかった。それはなぜか。これまでの教師の養成課程は「読み・書き」が中心だから先生もそれしか教えられない。これではいくら小学校から英語を始めても変わらない。必要なのは日本語を使わずに英語だけで授業ができる先生なんです。
−−教員の英語力の向上策は? ◆指標になるのはTOEFL。英語の先生を目指す学生には大学卒業要件として何点以上という基準も必要だろう。中学、高校の現職教師には希望すれば半年ぐらい留学したり、研修を受けたりして全員にTOEFLで一定の点数を取ってほしい。もともと英語の知識はあるから、あとは慣れるだけだと思います。
−−人材が育つまでには時間がかかりますが。
◆それまでは、地域で英語が話せる人や民間の英語学校、英語塾の先生を雇ってもいいし、ALT(外国語指導助手)を増やしてもいい。
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ここには、重大な事実誤認と論理破綻と教育に対する無知があります。
まず、重大な事実誤認。「これまでの教師の養成課程は「読み・書き」が中心だから」という部分です。英語科教員養成に携わっておられる方々、声を上げてください。もちろん、わたくしの認識こそ事実誤認であるということであれば、そう指摘してください。
言わずもがなの付け足しですが、念のために書いておきます。わたくしは教員養成の現状に問題がないと言っているのではありません。むしろ、たくさんの問題を抱えていると思います。しかし、それと上に書いた点とは直接の関係はありません。(改めて言うのも気恥ずかしいのですが)教員養成課程の改善は正しい事実認識の上に成り立っているべきです。
そして、論理破綻。仮に「これまでの教師の養成課程は「読み・書き」が中心だから先生もそれしか教えられない。これではいくら小学校から英語を始めても変わらない」ということを受け入れたとしても、(だから)「必要なのは日本語を使わずに英語だけで授業ができる先生なんです」とはならない。この辺りが素人談義の怖さです。
教育に対する無知ですが、(人材が育つまでは)「地域で英語が話せる人や民間の英語学校、英語塾の先生を雇ってもいいし、ALT(外国語指導助手)を増やしてもいい」では困るのです。小学校には小学校の、中学校には中学校の、そして、高等学校には高等学校の教え方というものがあるのです。もちろん、その「教え方」の違いはそれぞれにおける英語教育の目的・目標に対応したものです。つまり、理念を理解しない人が《はい、英語を教えますよ》と言ってもうまくいきません。小学校英語の教科化についても、とりあえずは中高の英語の免許を持っている人たちをあてがえばよいという意見も聞きますが、外国語教育・学習でもっとも大切な入門期の指導をそんな形で行ったら、どんな結果になるか、少しは考えてもらいたいものです。なお、その結果というのはすぐには出てきませんので、慎重にしなくてはならないのです。結果が出たときにはすでに手遅れということになりかねませんので。
自民党教育再生実行本部本部長である遠藤利明衆院議員というかたはこれまでもいろいろなところで、意見を述べています。そして、さまざまな批判を受けています。ただ、ここで大切なことは遠藤さんという個人を批判するだけではなにも変わらないだろうとことです。表には出てこない力が厳然と存在することをきちんと見抜かなくてはなりません。
【付記】 facebookにこの記事について書き込み、「英語の教員養成に関わっておられる、大学の先生がた、声を上げてください」と書きました。それに対し、具体的に何をすればよいのかという問い合わせをいただきました。まずは、 facebookに考えを掲載するだけでも大いに意味があると思います。考えを共有してくれるお仲間に声をかけるのもすぐできることの1つです。そうやって輪を広げていくことが大切です。いずれこちらから協力をお願いすることがあるかもしれません。
もちろん、小中高の先生がたにも声は上げていただきたいのですが、上げたくても上げられれないという状況もあります。実際、考えを公にすることはできないがということで、メールをくださった先生がたがたくさんおられます。
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