亘理陽一氏による、大津由紀雄・嶋田珠巳(編)『英語の学び方』の書評

最終更新: 3月20日



静岡大学の亘理陽一さんが大津由紀雄・嶋田珠巳(編)『英語の学び方』の書評を彼のブログに掲載してくれました。

http://www.watariyoichi.net/2017/01/02/review_books014/



亘理さんはこう書いています。

重過ぎず、英語学習を本格的に始める時に、学習者の、あるいは教える側の手の届くところにこういう本がたくさんあってほしいという一冊だ。本書だけで「英語の学び方」の全てを網羅しているわけではないし、もとより本書の意図するところでもない。普遍性と多様性を大事にしたいという哲学が行間ににじみ出ているのが類書との違いと言えようか。

【中略】

しかし、今の私の立場で本書を通読して感じたのは、そのような石が投げられるのは、同じ学部・学科のスタッフだけで中学生対象にこのようなワークショップを企画・実施し、本書を編める者だけであろうということだ。現在、英語学・英米文学・英語教育関係の専攻を持つ組織で、個人が孤軍奮闘するのではなく、本書執筆陣と同様の知的体力と情熱を持って「英語の学び方」を初学者に語り、商業ベースの出版に乗る本を作れる集団がどれくらいあるだろうかと思うと、正直明るい気持ちにはならない。そういう意味で、評価すべき仕事だと思うのである。

いずれ改めて書こうと思っているのですが、「スーパーグローバル」級の大学を除いた、多くの人文系学部・学科では知的荒廃がかなりの速度で進行しているように思えます。受験生を確保するための、なりふりかまわずの「営業活動」がまかり通っている状況では、日本の人文学の将来に期待できるところはごくごく限定的です。

わたくしが現在の勤務先である明海大学外国語学部に赴任して、この新たな環境での自分の使命と決めたのはこの状況からの脱出の範を外部に向けて示すことです。大学での教育は学習指導要領に制約されることもなく、大学の教員になるために教員免許状が必要とされることもなく、知的で、自由な教育であるべきであり、また、その教育は教員一人一人の研究成果に根ざしたものでなくてはなりません。そうでなければ、大学の存在意義が危ぶまれることになります。

幸い、この本の共編者である嶋田珠巳さんをはじめ、優れた研究者でもある各章の著者たちを擁する外国語学部英米語学科(個人的には「英米語学」の名称に違和感を覚えますが、これはある種の歴史的偶然の結果です)では、大学教育の基本に立ち返った、研究に根ざした教育を展開しようと(少なくとも、学部長であるわたくしは)意気込んでいます。

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