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学分会研究会に参加して考えたこと

 2024年5月26日(日曜日)の午後、学分会(まなぶんかい)第8回研究会が大阪教育大学で開かれました。今回は、新たに学分会の顧問に就くことになった大教大の加賀田哲也さんを交えて、江利川春雄さんとわたくしで鼎談をしようという試みです。

 鼎談で楽しくにぎやかにやるということありきの企画(そんなことを考えるのはわたくししかいません、ご想像のとおりです)ですから、話題は英語教育から大幅に逸脱しない限りなんでもよかったのです。でも、一応タイトルのようなものは必要だということで、3月の花見の時に、それぞれの持ちネタである「人間理解・ことばの教育・協同学習への挑戦」ということにしようということになりました。「への挑戦」というのは、奥深い課題への挑戦という意味とそんな課題に取り組んでいる鼎談相手への挑戦という2つの意味が込められているのだとそれなりに理屈っぽくまとめた結果です。

 そうしたところ、会代表の大西里奈さんと事務局長の上野舞斗さんたちが、なんと、「フロア乱入型鼎談」というレッテルを考え出したのです。これまた2つの意味があって、一つはフロアが壇上に乱入する、もう一つは登壇者がフロアに乱入する。もちろん、その両方があっていいのです。つまりは、壇上もフロアもなく、(他人に迷惑をかけない限りは)思うところを存分にぶつけ合えばよいのですから。

 研究会の最初の1時間程度は3人が話題提供と議論をする。残りの1時間半でフロアを交え、みんなでわいわいがやがや論じ合う。そんな段取りでした。話題提供の部は3人ともかなり熱が入っていて、15分程度ということにしてあった持ち時間の中に収めた人は一人もいませんでした。3人での討論も話題提供で十分に煮詰められていない部分を指摘しあい、さらに思考を深めるという狙いどおりの展開となりました。

 後半はオンライン参加者にも加わってもらって、さまざまな論点について考えました。年齢、経験、立場などは関係なく、自由にものが言える雰囲気が生まれれば成功です。学分会はそういう場なのだということがみんなの共通認識になれば、次回からはもっと突っ込んだ議論ができるようになるからです。


 全体として、とても充実した半日になったと思います。ただ、今後に向けての課題もいくつか明らかになりました。一つだけお話ししましょう。

今回は加賀田新顧問のお披露目のような趣向の会でしたが、それぞれの持ちネタについて15分程度で話すということになると、ある程度は前提にしなくてはいけないことが出てきます。たとえば、わたくしは学校英語教育の目的について話をしたのですが、その目的を「母語の性質メタレベルで捉え母語の力を十分発揮できるようにするため」としました。つまり、英語の運用能力云々はその目的に直接関わったことではないという考えです。これはもちろん、極論を提示することによって論点をより鮮明なものにしようという戦略にもとづくものです。ただし、「極論」と言っても「うそ」ではありません。「そんな目的設定をされたら日頃、教室で英語学習の支援をしている先生たちが当惑するだけだ」という意見も当然出てきました。しかし、Xという行為の目的とは「なぜ行為Xを行うのか」という問いに対する答えで、Xを実際にどのように行うかという方法に直接関与することはありません。目的に照らして、目標(「どのような状態になることを目指すのか」に対する答え)を考え、さらに、その目標達成のためにどんな方法をとるのかが決まってくるのです。

 その種のことを本来であれば冒頭に話し、無用な混乱を避けるべきところだったのですが、今回はその時間がありませんでした。案の定、さきほど述べたような当惑が生じました。もちろん、英語教員が英語を教えられなくなるというようなことはないのだという旨を討論のときに述べましたが、十分に伝えきれたと思ってはいません。

 最後に書いておきたいことがあります。以前からずっと思っていたことですが、この学分会の研究会、代表や事務局長をはじめ、役員の人たちが周到に準備して当日を迎えます。当日も会場の設営、段取りの確認、配布資料の準備など、舞台裏での努力が半端ではありません。ことに、今回のように会場とオンラインのフレックス開催というのは簡単なことではありません。きめ細かさのうえに技術力が不可欠です。お見事!としか言いようのない、すばらしい運営でした。

 ただ、小規模な会ですので、役員たちがそうした会の運営に力を注ぐと議論に参加できないという本末転倒な事態になってしまう危険性があります。そこで、次回の研究会では役員たちが登壇者となり、議論の中心に立ってもらう、そんな構想が立てられています。

 今回はちょっと発言しすぎたかな、声が大きすぎたかなと反省しているわたくしとしてはこの次は議論の司会をさせてもらおうかと密かに考えています。

 

【追記】

 わたくしは、自由な雰囲気の議論を求める学分会が大好きです。開催地はやはり関西中心であるのですが、できるだけ足繁く通うつもりでいます。次回の第9回研究会は8月12日(月曜日、山の日=祝日)の午後で、懇親会は高槻市のビヤガーデンで開催予定です。もちろん、わたくしも参加します。

 学分会の年会費は1,000円(千円)です。たくさんのみなさんが会員になってくれることで学分会の活動はどんどん活発になっていきます。外国語教育に関心がおありのかたならどなたでも入会できます。学部生、院生、教員、社会人、退職者などを問いません。ぜひご入会下さい。






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