東京言語研究所夏期特別講座の形で開催した「教師のためのことばワークショップ」が盛会のうちに無事終了しました。 東京言語研究所は故服部四郎博士を初代運営委員長として開設された研究・教育機関です。理論言語学を旗印にしていますが、服部先生は理論言語学の成果を社会に還元することの重要性についてもさまざまな形で説いておられます。たとえば、『英語基礎語彙の研究』はその実践例です。 今回のワークショップは、小中高などの教壇に立っておられるかたがたや教職を目指しているかたがたを主な対象として、ことばの重要性、ことばの世界の楽しさを実感していただくことを目的として企画したものです。 開講式で大津が新しい学習指導要領との関連を念頭に置きながら、「教育とことば」について解説したあと、池上嘉彦氏、西村義樹氏、西山佑司氏、そして、わたくしの順で、講義とワークショップを行いました。 各講師はそれぞれが専門とする領域を中心にした話を展開しました。最初は多少とまどっていた参加者もすぐにことばの世界のすばらしさに引き込まれていったように思います。 参加者は予定していた定員どおりの40名でした。北は青森、南は鹿児島からの参加者もありました。国語・英語などの教員、教員志望者に加え、日本語教育に従事している、あるいは、しようとしているかたがた、ラボチューターのかたがた、一般社会人のかたがたなど多彩な参加者構成となりました。 研究所事務局の大矢昭三氏、杉沢智子氏の尽力もあり、ワークショップは非常になごやかな雰囲気の中で行われました。 実際の作業ではグループワークも行われ、参加者同士の交流も活発に行われました。 最終日の閉講式では質疑応答や講師講評も行われました。修了証授与のあと、記念撮影をして、お開きとなりました。 はじめての試みとしては成功だったと思いますが、今後の課題としてあきらかになった点もあります。思いつくまま順不同に列挙しますと、 1 開講時点での参加者の知識、技能、心構えなどにばらつきがあり、ごく少数ではあるが、とまどいが比較的長く残った参加者もいた。 2 参加者自身による作業(「ワークショップ」)の時間を拡張する必要があるかもしれない。 3 今回は閉講式での質疑応答・講師講評の時間に限られていた全体討論の時間を拡張する必要があるかもしれない。 4 講義やワークショップから学んだことをどう教育実践に生かしていくかについて検討する時間を設ける必要がある。 抜き差しならぬ状況に追い込まれている、日本の言語教育を根底から変えていくためにはこのような草の根的な活動を地道に重ねていくことが重要であると思います。来年度以降のことについては研究所の運営委員会で検討することになっていますが、なんらかの形で今回の成果をつぎの展開に繋げていく必要があることは間違いありません。 最後になってしまいましたが、参加者の皆さん、お疲れさまでした。
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