榊原さんは、東大病院の小児科医長を務められたあと、現在はお茶大の先生をされています。『子どもの脳の発達 臨界期・敏感期』(講談社+α新書)など、一般向けの良書も書いておられます。 表題の本もお勧めです。奥付によると出版は昨年の暮のようですが、最近まで気づきませんでした。 この本の副題は「ここまでわかった そのメカニズム」となっています。脳科学が発達障害の正体にどれだけ迫っているのかが冷静に書かれています。 発達障害に特別の関心のないかたにも、この本はお勧めです。第1章「脳科学の誕生と脳機能イメージング」はおよそ50ページに要領よくまとめられています。今後、認知科学の入門講義をする際にはぜひ活用させてもらおうと思います。 「発達障害の脳科学はなにをもたらすのか?—あとがきにかえて」(どういうわけか、この部分だけページの表示—ノンブル—が脱落しています)は短いながら的確にきわもの脳科学を批判しています。「脳科学と教育」もブームの感がありますが、警戒が必要で、そのためにもこの文章は役立ちます。 およそ190ページで、1200円+税です。
榊原洋一 『脳科学と発達障害』 中央法規
更新日:2020年3月21日
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