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池内正幸先生コロキアム

更新日:2020年3月21日


院生の桃生(ものう)です。

18日(土)、津田塾大学の池内正幸先生を講師にお迎えし、言語学コロキアムが開かれました。

池内先生には、2008年10月のコロキアムで「言語の起源と進化‐研究の基礎から最近の動向まで」という題でお話いただきました。そこでの内容を受け、今回は「現代進化言語学の最近のトピックス」という題でお話いただきました。

言語機能の前駆体を発見することが、その進化的妥当性を高める上で重要なポイントとなる、という考えのもと、言語機能と、人間以外の動物がもつ性質や他の認知機能との間の類似点について議論が進められました。

明確な化石がなく、言語固有の性質に関して統一的見解もない中で、前駆体を見つけることは非常に難しいことです。さらに、何をもって「類似している」と言えるのかについては、充分な議論が必要です。しかしそのような中でも、脳容量、道具・文化の発達等との関連、さらには意外なところで類似点や手がかりが見つかっている、という内容は、とても興味深いものでした。

前回の講義では、「言語以外の数多くの分野で、言語の起源・進化について議論されている。生成文法学者は、他分野における議論を検討し、自身の研究成果を積極的に発信することが必要である。」というメッセージがありました。

その後約2年を経た今回の講義では「UGやI-languageについての理解は深まりつつある一方で、「言語」の詳細な定義に誤解があったり、生成文法学者による提案が一部で完全に否定されたりと、他分野との間に大きな垣根がある。そこを乗り越えなければ、今後の生産的議論は期待できない。」というメッセージになりました。

「超」学際的なテーマであることが、垣根を生む原因の一つとしてありますが、研究が少なからず動いているからこそ垣根が生じる、とも言えます。垣根が生じることで対立ポイントが明確になり、他分野の研究者と直接議論できる状況ができつつあるのだと感じました。

言語の起源・進化研究の最前線を垣間見れ、その魅力を改めて感じられる時間となりました。 池内先生、そしてお越しいただいた皆様、どうもありがとうございました。

なお、Evolangという言語進化に関する国際会議が2年に一度開催されていますが、2012年のEvolang 9は京都大学で開催される予定です。

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