理論言語学講座 日曜日にガイダンス

更新日:2020年3月21日


満開だった枝垂れ桜がいまは色鮮やかな葉桜となって、再び人々の目を楽しませてくれています。

いろいろと動き回っているうちに5月になってしまいました。いくつか書きたいことが溜まりました。

まずは、つぎの日曜日、5月8日に東京言語研究所理論言語学講座のガイダンスが開催されます。今年度から個別のガイダンスに引き続き、開講式と懇親会を開くことにしました。従来の個別ガイダンスだけの方式ですと、受講生全員が顔をあわせるという機会がなく、「入学」も「卒業」もあり、きちんとしたカリキュラムを整えている教育機会としての理論言語学講座という点が理解されづらいと考えてのことです。懇親会では多くの講師たちと直接話ができます。ぜひこの機会を活用してください。 http://www.tokyo-gengo.gr.jp/

4月18日から25日まで北京へ行ってきました。認知科学(母語獲得)の基調講演をするためです。北京語言大学という、言語学研究や語学教育の盛んな大学で開かれたシンポジウムとワークショップの一環です。Stephen Crainたちと一緒でした。聴衆の多くは大学院生と若手研究者でしたが、なかには学部生も交じっていました。真剣なまなざしの聴衆に刺激されて、こちらの話もついつい熱が入ります。講演は英語でしました。中国語が少しでもできればよかったのですが。 せっかくの機会なので、小学校での英語活動についても講演をしました。こちらは、「させてもらった」ものです。そして、小学校での英語の授業を見せてもらいました。小学4年生対象のもので、35人クラス、先生は英語専科の先生です。 A: What do you want to do this summer? B: I want to go to Shanghai. A: What do you want to do there? B: I want to take pictures. という他愛ない素材をもとにしたものでしたが、先生の授業運びは見事で、子どもたちの反応も上々です。ただ、なんだか非常に機械的な気がしたので、授業が終わった後、子どもたちに

What do you want to do this summer?

と尋ねました。ところが、答えがまったく返ってこないのです。知らない人に恥ずかしがっているのではないのです。実際、同行してくれた英語を話す先生を介して、「どこから来たのか?」「いつまで北京にいるのか?」といったことを中国語で積極的に質問してきます。また、その先生をとおして中国語で「英語はいつから習っているのか?」と尋ねるときちんと答えが返ってきます。

なんだか現代の「賢いハンス」を見ているようで、じつに不思議な気分になりました。帰国してから、その話を何人かの友人にしたのですが、韓国でも似たような体験をしたとか、中国からのやってきた小学生も同じだという話を聞きました。現代版「賢いハンス」の謎解きはまだできていません。


北京では早期教育も盛んです。なかでも、英語は注目を集めています。児童英語をやっている大手企業にも行ってきました。立派なビルの一フロアを占有して、事業展開をしています。アメリカ人の専任スタッフ(教員としてだけでなく、運営にもかかわっている)を置き、案内も手慣れたものでした。

今回の見聞は、空間的にも北京という大都市限定で、時間的にも現在限定ですから、一般化はできません。ただ、ある晩、連れて行ってもらった飲み屋で、(また通訳の先生を介してですが)「子どもに小さいころから英語を習わせたいですか?」と尋ねたら、「もちろん」「ほかにありえない」などという答えに交じって、「行かせたくたって、そんな金がないよ」という類の返事もけっこう返ってきました。

主催者が認知科学の講演を気に入ってくれ、また来てほしいと言われたので、次回は都市部ではないところで小学校英語の授業を見せて欲しいと伝えておきました。


帰ってきて、「英語ノート」廃止の話が飛び込んできました。また、 4月30日付の朝日新聞朝刊では「英語活動」の教科化をめぐる賛否両論が掲載されていました。とうとう、「教科化」が一般の人たちの目に入るような形で顔を出したということです。以前から繰り返していますように、この教科化の動きは大いに、大いに警戒しなくてはなりません。教科化されたら、学校英語教育全体が取り返しのつかない事態に陥る危険性が大です。


長くなりましたので、また改めて。

#日常 #英語教育 #言語の認知科学 #言語教育

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