先にご案内いたしました、東京言語研究所理論言語学講座の前期分・通年分の申し込み締め切りが迫ってきました。5月9日(月曜日)午前10時です。
わたくしの担当は「生成文法Ⅰ(入門)」ですが、友人の杉崎鉱司さん(関西学院大学)は「言語心理学」を、福井直樹さん(上智大学)は「生成文法Ⅱ」を担当します。ほかにも、興味深い講義がたくさん開講されます。
杉崎さんの「言語心理学」では主に第一言語(母語)獲得を取り上げるようです。杉崎さんはこの分野で多くの研究成果を上げています。岩波書店から出版された『はじめての言語獲得』(2015年)は日本英語学会賞を受賞しました。奥深い内容を初心者でも順を踏んで読めば理解できるように書かれている優れた本です。今回もわかりやすい講義を展開してくれるものと思います。お勧めです。
わたくしの講義は入門ですので、生成文法についてはもちろんのこと、言語学についても、認知科学についても予備知識を前提としていません。初歩から丁寧に、できるだけわかりやすく講義します。
【概要】
この講義では生成文法について基 礎から学びます。前期の前半部では、近年「言語生物学(biolinguistics)」と呼ばれることが多い、認知科学・神経科学としての生成文法について解説します。この理解が不鮮明であると生成文法の発展や今後の展望について理解がおぼつかなくなるので、丁寧に説明します。主たる参照文献 はN. Chomsky. 1965. Aspects of the theory of syntax . MIT Pressの第1章(福井・辻子によ る邦訳『統辞理論の諸相ー方法論序説』岩波文庫あり)です。 前期の後半部からは、A. Carnie. 2021. Syntax: a generative introduction (fourth ed.). Wiley-Blackwellと渡辺明. 2009.『生成文法』東大出版会とを適宜利用しながら、統語論を例に生成文法の言語分析の方法を講じます。Carnie 2021は英語で書かれた教科書ですが、平易な英語で書かれています。 同書を読み、英語文献を読む力をつけることも可能です。2冊手元に置いておくと便利ですが、どちらか 1冊ということであれば、Carnie 2021を用意してください。この課目は《生成文法に入門すべく試みたがうまくいかなかった》《生成文法に興味はあるが敷居が高い》という向きにお勧めです。
今年度の講義はすべてオンライン形態で行いますので、遠隔地にお住まいの方も受講できます。
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