
東京言語研究所の春期講座も無事終了し、ゴールデンウィークが終わると、理論言語学講座が始まります。申し込みの締め切りは5月7日で、恒例のガイダンスは5月10日です。
すでにご案内しましたが、今年度は水曜日2限(午後7時40分から9時10分まで)に言語学入門を講じます。内容の概要はつぎのとおりです。
— 「言語学」と聞いて、どんな学問を連想しますか。「「言語」学」というのですから、「言語」 を対象にした学問であろうことはだれでも推測できますが、それ以上、立ち入った話にな ると、案内書なり、案内人が必要になるでしょう。
想定している受講者は、学部生、大学院生、小中高の先生、一般社会人、そして、(夜は 遅いのですが)高校生です。
日本社会の将来を考えるとき、ことばの問題を無視することはできません。ことばは思 考とさまざまな形での情報交換を支える重要なシステムだからです。しかし、いまの日本 にはことばに関する俗説が横行し、ことばの教育もないがしろにされがちです。こうした 状況の改善は喫緊の社会的課題です。その意味で、この講義を、言語学を学びたい、言語 学の研究者を目指したいというかたがただけでなく、広くことばに関心を持つかたがたに 受講していただきたいと願っています。
取り上げる予定のトピックはつぎのとおりです。「言語」とは。なぜ言語を研究するのか。研究の方法。動物の「言語」とヒトの言語。言語音の世界。語の世界。文の世界。語用の 世界。形と意味。言語の獲得。言語理解。発話。言語の変化。言語と社会。言語の脳科学。 言語の起源と進化。言語と教育。など。
ことばは人間だけに許された宝物です。その正体を探ることによって、その価値をきち んと認識し、効果的に活用することができるようになります。この機会に言語学への入門 を果たしてください。 —
なお、同じ水曜日1限に開講される「社会言語学(社会言語学入門)」を同時受講するの も効果的だと思います。 この科目の担当は勤務先の大学で同僚の嶋田珠巳さんです。気鋭の社会言語学者です。
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