もうお読みになった方も多いかと思いますが、きょうの朝日新聞の夕刊に、江利川春雄さんのご新著『英語教科書は<戦争>をどう教えてきたか』(研究社刊)の紹介記事が掲載されました。
ご承知のように、江利川春雄さんは英語教育史研究に風穴を開ける重要な研究成果を立て続けに発表してきました。『近代日本の英語科教育史―職業系諸学校による英語教育の大衆化過程 』(2006年、東信社)、『日本人は英語をどう学んできたか 英語教育の社会文化史』(2008年、研究社)、『英語教育のポリティクス―競争から協同へ』(2009年、三友社)、『受験英語と日本人――入試問題と参考書からみる英語学習史』(2011年、研究社)など、英語教育史研究者だけでなく、英語や英語教育に関心を持つ人にぜひ読んでもらいたいものばかりです。 江利川さんは「はじめに」でこの本の目的を「日本の小学校や中等学校などの外国語教育(ほとんどは英語教育)において、<戦争を>どう教えてきたかを明らかにすること」と書いています。関連して、江利川さんは「学校教育において、英語などの外国語教育が若者をどう戦争に駆りたてたか」を解明する必要がある」とも書いています。つまり、英語教科書は戦争をどう教えてきたかという問題を単に過去の物語として語るのではなく、現代的問題を考えるための重要な視点の1つとして位置づけている。
「同じ過ちを繰り返さないためには、自分を安全圏に置いてはならない」という江利川さんのことばはまさにこの夏、大きな意味を以ってわたくしたちに迫ってきます。
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