第10回OPI国際シンポジウムが函館で開かれました。基調講演者の1人として招待していただき、前後合わせて3日間の大会を楽しんできました。
OPIというのはOral Proficiency Interviewの略称です。American Council on the Teaching of Foreign Languagesが開発した口頭能力測定試験のことで、この試験を日本語教育に活かそうというグループが主催しているのがこの国際シンポジウムです。
このグループのサイトに引用されている牧野成一先生のことばをお借りすると、「OPIとは、外国語学習者の会話のタスク達成能力を、一般的な能力基準を参照しながら対面のインタビュー方式で判定するテストである。(牧野:2001より)」ということになります。
正直に告白すると、今回のお話をいただくまで、というよりも、函館に着くまで、わたくしはOPIについてほとんど知りませんでした。今回、OPIのデモンストレーション(1つは鎌田修さんによるもの、もう1つは牧野成一先生によるもの)を実際に拝見し、とても興味を覚えました。
OPIの目指すところの1つに口頭能力の明示的な評価基準による客観的評価ということがあります。それがどの程度、達成されているのかという点については見解が分かれるところであるようです。ただ、OPIの試みを知り、デモンストレーションを拝見し、「口頭能力、話す力(oral proficiency)」とはなにかについていろいろと考えを巡らせるきっかけを得ることができました。
大学入試に4技能対応型の試験を導入するということが話題になっていますが、それについて考える時に避けて通ることができないさまざまな問題をOPIは提供していると思います。
入門書として下記がありますが、いまは品切れ状態のようですので、図書館などでご覧になってはいかがでしょうか。
『ACTFL‐OPI入門―日本語学習者の「話す力」を客観的に測る』 アルク
今回の国際シンポジウムのキーワードは「つながり」でした。わたくしの基調講演では、母語教育としての国語教育、外国語教育としての英語教育の一体化の試みに日本語教育も参加していただきたいという趣旨のことをお話ししました。
嶋田和子さん、鎌田修さん、北川裕子さん(と素敵なお連れ合い)、野山広さん、石澤徹さん、春原憲一郎さん、定延利之さん、和泉元千春さん、鎌田美千子さん、木越勉さんをはじめ多くの友人との再会、牧野成一先生(1978年イリノイ大学でのLinguistic Instituteの折にお目にかかることが叶わず、今回、はじめてご挨拶することができました)、當作靖彦さんをはじめとする、これまた多くの方々との新たなつながりを得て、新たな力が湧いてきました。
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