自然な成り行きとして考えていたとおり、《小学校英語を教科化しよう、専科化しよう》という動きが表面化しました。
この問題を、《なあに、英語「活動」を英語「教育」にしようとするだけだから、どうってことないよ。それに、専科の先生が来てくれるなら、もう担任は英語をやらなくてすむし》と考えてはだめなのです。現在の外国語活動担当教科調査官の直山木綿子さんや松川禮子岐阜県教育長たちが先導し、全国の小学校の先生がたが多くのエネルギーを注ぎ、長い時間をかけて育て上げてきた英語活動文化がこれだいなしになってしまうのです。
英語活動は実質的にことば活動に転換できる余地を残しており、実際、わたくしたちの活動に賛同して、その可能性を探ってくださって小学校の先生がたも少なくありません。しかし、その努力も教科化、専科化ということになったら、水の泡です。
外国語活動、英語活動は学校英語教育に将来の可能性の余地を残して、その崩壊を食い止め、ぎりぎろのところで踏みとどまるための知恵だったのです。
現実的に考えても問題がすぐ浮上します。公立小学校の数は現在約2万1千校です。中学校の倍、高等学校の4倍です。これだけ多くの小学校で「充実した英語教育」など、望むべくもありません。小学校に英語教育を導入するための予算があるなら、それは中学校、高等学校での英語教育の充実に回すべきです。
小学校が英語教科化、専科化で崩れ、中学校では基礎の英文法教育もおぼつかず、高等学校では「英語の授業は英語で」おこない、TOEFL対策にやっきとなり、大学は就職率の向上を旗印とするTOEFL対策講座一色になる。いままで、日本の学校英語教育には「原理がない」「主義がない」と言ってきましたが、これではそんなことを言う気力すら失いそうです。(失いませんが!)
小学校の先生がた、中学校・高等学校の先生がた、そして、大学の先生がた、今度こそ、声をあげなくてはなりません。そして、広く社会に向けて、お考えを伝えてください。
わたしたちもみなさんと一緒に考え、行動すべく、いくつかのことを企画しています。近く、そのことについて、みなさんにお知らせする予定です。
Comentarios