2022年6月2日の投稿で、東京都が公開した、ESAT-J不受験者のための「仮のESAT-J結果」の算出方法は英語学力検査の得点とESAT-Jの結果の間に相関が認められることを前提としているということを指摘したうえで、つぎのように書きました。
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おそらく、東京都はプレテストや確認プレテストなどの結果から両者の間にそれなりの相関が認められることを確認していると考えられます(もししていないなら、それはそれで問題です)。
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ところが、そうではないことが都立学校教育部長の口から語られたのです。時間と場所は、2022年5月27日に開催された東京都議会文教委員会の席上でです。
幸い、動画が公開されていますので、どうぞご自身で確かめてください。
ESAT-Jについてのやりとりは開始後1:09ごろから始まります。そして、問題の発言は開始後2:04ごろに飛び出します。英語学力検査の結果とESAT-Jの結果の間に相関はあるのかという、戸谷英津子議員(理事)の質問に対する、村西都立学校教育部長の答弁です。
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具体的な相関関係のデータはただ今持っておりません。ただ、繰り返しになりますが、都立高校入試におきましては多様な事情を抱えた受験者がいることを考慮した特例的な措置は必ず必要となります。そうした措置の一つであると考えております。
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ついでに指摘しておきたいのですが、この村西部長さん、戸谷さんの質問を理解できていません。「ただ、」以降は質問とは関係のない、的外れの「回答」です。なお、この回答ですら、戸谷さんの繰り返しの質問で出てきたものです。
「具体的な相関関係のデータはただ今持っておりません」という発言はきわめて重要です。例の推定方法の基盤がきわめて脆弱なことが明らかになり、松井孝志さんが提示した、仮想の得点分布が絵空事ではないことになります。推定による順位の逆転が起きうるということです。
ないとは思いますが、「具体的な相関関係のデータはただ今持っておりません」というのは「手元にないということで、オフィスに戻ればデータはあります」ということば遊びを弄してきたら、戸谷さん、「では、そのデータを開示してください」と追及してください。
もう一つ、「ESAT-Jの本番はこれからでございますので、データはあるはずもございません」という回答が出てきたら、「3回にわたるプレテストや確認プレテストの結果を活用することはなさらなかったのですか」とお尋ねください。
いずれにも、「秘匿事項でございます」と逃げるかもしれませんが、ますます怪しさが醸し出される効果は期待できます。
前回の書き込みでも指摘しましたが、問題ここに至っては、教育委員会、教育長、都知事レベルでの一刻も早い決断が必要です。
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