大津由紀雄 (編) 池上嘉彦 窪薗晴夫 大津由紀雄 西山佑司 (著) 開拓社 言語・文化選書26
ことばワークショップ― 言語を再発見する ―
がまもなく刊行されます。これは一昨年東京言語研究所で開催された「教師のためのことばワークショップ」をもとにしたものですが、教育関係者だけでなく、広くことばに関心を持つ方々にも有益であると思います。 「ことばの力」を十分に生かすためには「ことば」の性質と働きをきちんと心得ておくことが大切です。「ことば」という謎をベテランガイドの案内で解き明かしていく楽しみをぜひ堪能してください。
目次
まえがき 新学習指導要領に関係するウェブサイト
第I部 言語研究のおもしろさ 池上嘉彦
はじめに―言語学一歩手前の〈ことば〉と言語学を越えた〈ことば〉 1. 〈偶然性の中の必然性〉を発見すること 2. 〈絶対性の相対化〉を体験すること 3. なぜ,そして,どこまでの〈必然性〉なのか 4. 〈言語の構造〉よりも〈話者の認知スタンス〉へ 5. 〈主観的把握〉と〈客観的把握〉 結びに―言語を超えての〈相同性〉 [読書案内]
第II部 ことばの曖昧性と方言 窪薗晴夫 1. ことばの曖昧性 1.1. ことばの誤解 1.2. アクセントと同音異義語 1.3. アクセントのまとまりと同音異義語 1.4. 枝分かれ構造とアクセント 1.5. 区切りとイントネーション 1.6. 強調のイントネーション 1.7. まとめ 2. 方言の多様性 1.1. 単語の方言差 1.2. 意味の方言差 1.3. 用法の方言差 1.4. アクセントの方言差 1.5. イントネーションの方言差 3. 結び [読書案内]
第III部 文の成り立ちを探る 大津由紀雄 1. はじめに 2. 文の形式的成り立ち 3. ことばの抽象性 4. 個別性と普遍性 5. ことばへの気づき 6. ワークショップ1―句構造の階層性を利用した曖昧性 7. ワークショップ2―埋め込みを利用した詩 8. 最後に [読書案内]
第IV部 曖昧表現からことばの科学を垣間見る 西山佑司 はじめに 1. 曖昧性(ambiguity)とは何か 2. 曖昧な語や句を含む文 2.1. 曖昧な語とは 2.2. 語のレベルでの曖昧性と不明瞭性 2.3. 句のレベルでの曖昧性と不明瞭性 3. 曖昧性を不明瞭性から区別するテスト 4. 文の曖昧性をもたらす主な要因 4.1. 統語構造上の曖昧性 4.2. 否定辞や数量詞の作用域(scope)の違い 4.3. 因果関係のbecauseと推論のbecause 5. 名詞句の意味機能にかかわる曖昧性 5.1. 名詞句の多様な意味機能 5.2. コピュラ文に登場する叙述名詞句と変項名詞句 5.3. コピュラ文の曖昧性 5.4. 多様な構文における変項名詞句の働き 5.4.1. 変化文と変項名詞句 5.4.2. 潜伏疑問文と変項名詞句 5.4.3. 絶対存在文と変項名詞句 6. 他のタイプの曖昧性 6.1. 数量詞に対する数量読みと属性読み 6.2. 束縛変項読みと自由変項読み 6.3. 持ち主受身と被害受身 結び [読書案内]
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