12年3月4日付 朝日新聞 Globe掲載のインタビュー

最終更新: 3月21日

3月4日付の朝日新聞Globeで「英語化の行方」という興味深い特集記事が組まれました。その一部として、わたくしのインタビューが掲載されています。掲載後、多くの方々からメールやお手紙をいただきました。また、記事を見逃してしまったのだが、ぜひ読みたいというメッセージもいただきました。そこで、編集部の了解を得て、以下にその内容を転載いたします。 なお、この記事は、インタビューアであった、朝日新聞の稲垣直人さんという記者さんがまとめてくださったものです。インタビューそのものは1時間を超えるものであったのですが、それをこれだけ簡潔に、かつ、正確にまとめてくださったことに感謝いたします。 ここにはさまざまな論点が盛り込まれていますが、個々の論点については、これからもいろいろな形で、さらに、詳しく論じていくつもりです。

インタビュー

なぜ「英語だけ」なのか

大津由紀雄(慶応大学教授)


 日本や世界で、これだけ人々が英語習得に躍起になっているのは、日常的なコミュニケーションがしたい、ということでしょう。でも、深刻かつ皮肉なのは、実はきわめて基礎的な英語力がどんどん衰えている、という日本の惨状です。

たとえば、中・高の教科書は会話形式が多くなりましたが、教える単語教は減り、歯ごたえのある英文は影をひそめました。大学生ですら、英文を読むとき、S(主語)V(動詞)O(目的語)という基本的な構文の把握ができなくなっています。

なぜなら、主語とは何か、動詞とは、人称とは、複数・単数とは……といった外国語を学ぶうえで不可欠な「概念」を理解していないのです。こうしたことは、小学校のうちから、母語である日本語で身につけておくべきものです。

政治指導者や官僚が使う知的な英語となると、なおさら言葉だけの問題ではありません。どうやって議論を組み立てて展開していくかという能力が問われる。このレベルの外国語習得は、母語を操る能力をしっかり学んだあとでも十分間に合います。

英語の影響力は否定しがたいのですが、それ以外の外国語を学ぶ意味も重要だと思います。さまざまな文化の価値がより重視されるようになった世界の流れのなか、「英語だけ」というのはやはりおかしい。私自身、日本語とも英語とも体系が違うドイツ語をかじっているおかげで、世界が一段と広がることを実感できています。

日本語で「本を読む」は、英語では“read a book”と語順が違う。しかし、日本語には「読書」という、英語と同じ語順の表現もある。これは中国語の影響ですよね。こういうことを小さな子に気付かせると、子どもたちは目を輝かせます。複数の言語に触れることで、知的な好奇心が刺激されるのです。

(聞き手 稲垣直人)


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