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本の紹介

更新日:2020年3月21日


比較的最近読んだ本のなかから、良書2冊をご紹介します。1冊目はCedric Boeckx (姓はbooksと発音します)のLanguage in Cognition: uncovering mental structures and the rules behind them (Wiley-Blackwell, 2009)です。

認知科学・脳科学としての生成文法の研究プログラムを懇切丁寧に解説してあります。読んでいくうちに、著者の博学ぶりに驚かされます。そして、もっと驚かされるのは、単に博学であるというだけでなく、広範囲にわたる知識を見事に消化して、一つの体系として提示してある点です。

じつは、いまこの本を大学院生と読んでいるのですが、各章とも教えられることが多く、勉強になります。

生成文法のことは一応承知しているが、そのもとにある考え方をしりたいというかたにはお勧めの1冊です。まだ翻訳はありませんが、いずれ出版されるものと思います。

ちなみに、この著者、わたくしたちの研究室をなんどか訪ねてくれていますが、誠実な人柄で、講義もとても上手です。


もう1冊はRichard LarsonのGrammar as Science (MIT Press, 2010)です。

この本は生成文法の方法について解説したものです。議論の仕方、そして、なぜそのような仕方で議論するのかをこれまた丁寧に解説しています。Larsonは学校教育の中に言語学を組み込むべきだという主張をしつづけており、この本も小中高の先生がたに読んでいただきたいと思います。ただ、そうは言っても、英語で書かれた本でそれなりの分量がありますし、分析の主たる対象は英語ですので、多少敷居が高いかもしれません。

でも、夏休みを利用して、ノートをとりながら、きちんと読めば、ことばの仕組みと働きについて得るところ大だと思います。

【付記】このGaSと一緒に使えるネット上のソフトウエアがあります。しかも無料でダウンロードできます。Syntacticaというソフトです。 http://mitpress.mit.edu/syntactica このソフトは当初NeXTSTEP上で走るものとして用意され、市販されていました。わたくしもそれを購入したのですが、うまく使いこなすことができませんでした。今回、Win/Mac対応版が用意されたことはこのソフトウエアの普及に大いに役立つと思います。まだ使いこなせるというほどには使い込んでいませんが、かなり使い勝手がよいように思います。ぜひ試してください。(07/20/10)

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