8月7日から3日間、メリーランド大学のJeffrey Lidz先生に集中講義を行っていただきました。
LAD(言語獲得装置)の中身を説明する理論や、それを検証する実験について、教えていただきました。特に子どもはどのような手がかりをもとに、ことばを理解・産出するのかについて、実証的なデータを示しながら丁寧に説明して下さいました。
興味深かったのは、言語経験が増えてくると、もともとは生得的に持っている知識を使って正しく理解できていた文構造を、間違って理解してしまう時期があるというお話です。この原因は、生得的に持っている知識を失ってしまったからではなく、何度もある単語を聞く中で、「この単語の後には、必ずある種類の単語が来るのだ」という仮説を立ててしまい、この仮説のせいで本当の文構造を捉えられなくなるからです。
私はこの春から言語学について学び始め、講義の中で「理解・産出したものをもとに予測をすることはできるが、言語知識は直接測れない」ということを何度も聞いてきました。Lidz先生の講義を聞いて、このことばを、とても実感を持って受け止められた気がします。
最終日の夜は、Lidz先生と院生で、飲み会をしました。Lidz先生はビールだけでなく、日本酒もお好きだということが分かりました。研究のことから、プライベートなことまで、私たちが質問したことには快く答えて下さり、とても楽しい時間を過ごすことができました。
Lidz先生、長時間本当にありがとうございました。
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