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執筆者の写真大津由紀雄

65年目に解けた謎

更新日:2020年5月10日

きょうの明け方に見た夢。♪マドロス、マンボゥという小さいころ、何度も耳にした歌が繰り返し、繰り返し聞こえてくる。目が覚めても、その歌が耳から離れない。


じつは、この歌、小さいころ、不思議でならなかった。「マンボゥ」という部分は「アァ~うっ!」と聞こえる掛け声(のようなもの)でおなじみのラテン音楽のことだというくらいのことは当時小学校へ入ったばかりの大津少年にもなんとなくわかったが、そのマンボがなんでマドロスさんと関係があるのかが不思議だった。「マドロス」はオランダ語由来の船乗りさんを指すことばで、昭和20年代、30年代の流行歌でよく使われた。「マドロス歌謡」とか、「マドロス港唄」とかいう言い方もあった。たいていは粋な船乗りさんの話に仕立てられていた。



船乗りさんとラテン音楽。幼心に不思議に思った大津少年は父母や周りの大人たちに質問しまくったが、当時の蒲田にその質問に答えてくれる人はいなかった。「キューバの港町で船乗りさんが恋をするじゃないか」と言った人もいた。「恋」がなにかくわしいことは知らなかったが、島倉千代子がいつも歌っている、どきどき、わくわくするような気持であるぐらいのことはわかっていた。それにしても、船乗りさんのキューバでの恋とはちょっと曲調が違うなあ。


そうこうしているうちにいつしか、この曲のことも、その疑問のこともすっかり忘れてしまい、長い年月が経過した。そして、けさ、その曲が夢に出てきたのである。念入りに岡晴夫似のマドロスさんがいかにも中南米といった風情の港町のバーでマドロスパイプを吹かしながら♪マドロス、マンボゥと繰り返している。


そこで、目が覚めた。ベッドの中でiPadを手繰り、「マドロス、マンボ」で検索したが出てこない。「マドラス、マンボ」でも出てこない。


連れ合いが少し遅れて起きてきた。《あ、彼女なら知っているだろう》と思った。なんと言ってもジャズ歌手なのだから。


-- 「マドロス、マンボ」って知らない?

-- なにそれ?

-- 歌だよ。♪マドロス、マンボって

-- そんなの聞いたことない。

-- 小さいころ、流行っていた。江利チエミかだれかが歌っていた。アァ~うっ!」とか入っちゃってる…

-- あ~、ひょっとして、Mama loves mamboのこと? ♪Mama loves mambo

-- そうそう。えっ、何だって! Mama loves mambo? マドロス、マンボゥ

-- (大爆笑)


ちなみに、曲の名前はPapa loves mamboで、歌いだしもPapa loves mambo、そして、Mama loves mamboと続く。パパのところはまったく記憶にない。マドロスさんと結びついたママの部分だけが記憶に残ったというのがおかしい。Perry Comoという人の歌唱が有名だそうで、

で聴くことができる。そうそう、江利チエミも歌っているから、たぶん、大津少年が耳にしたのはこっちのほうだろう。


65年目にして謎が解けた!



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