すでに広く知られているように、ESAT-Jはベネッセが実施しているGTECに酷似しています。この点についてはhttps://bit.ly/3J5sBPqを参照してください。
さて、先日、そのGTECの「試験官」(このかたの表現をそのまま使います。以下は、「 」を付しません)をしたことがあるというかたから連絡をいただきました。そして、そのときの体験を皆さんに知って欲しいということで、つぎの文章を寄せてくださいました。ご本人の了解を得て、以下に掲載します。
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ESAT-Jの元になった、ベネッセが実施しているGTECの中3を対象とした試験の試験官をやったことがある。私が一番興味があったのは、試験官をつとめる我々教員の事前研修、という名の採点スキルチェックである。オンラインで、実際の試験の様子を見て、実際に一問一問数段階から選び成績をつける。日本人の英語教師が5人。ベネッセが設定した段階の成績に近いほど、試験官としての評価が高く出る仕組みなのだが、私たちの採点結果は見事にバラバラであった。結局、じぶんは高い評価を得たが、他の先生は半分が高い方で、後はそれ以下であった。その結果を見て、これ問題おかしいよね、こんなのダメだよね、と意見が一致した。
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書いていただいたところをまとめると、こんな具合になるかと思います。試験官に採用されるためには、試験官の事前研修がある。試験官候補者が共通の素材(録音された、英語話者の音声と生徒の音声)をそれぞれ採点する。その採点結果がベネッセがあらかじめ用意した「模範解答」に近いほど、試験官としてよりふさわしいと評価される。ところが、皮肉なことに、このかたの場合は一緒に研修を受けた人たちの間で採点に大きなばらつきがあった。
音声素材の評価のばらつきについてはかねてから指摘がありましたが、ここに書かれていることに間違いがなければ、GTECの場合にもそのようなことが起きていたということがわかります。
これは単一の事例で、どのくらい一般的なことなのかはわかりません。ただ、以前から指摘しているように、英語スピーチコンテストの審査員をすると、事前に採点基準をかなり綿密に打ち合わせても審査員間の評価にばらつき(場合によっては非常に大きなばらつき)がでることは体験者であればだれでも知っているところです。
東京都はフィリピンで行われる採点について、採点者にどのような事前研修を行っているのか、プレテストなどにおいて(今回の投稿者の場合のような)採点のばらつきはみられなかったのか、などについて説明をしていません。
受験生にとってきわめて重要な点ですので、ぜひ関連する情報を開示し、不安を払しょくするよう努めるべきです。
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