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『学習英文法を見直したい』、JACET賞受賞

更新日:2020年3月20日


拙編著『学習英文法を見直したい』(2012年、研究社)が今年度の大学英語教育学会賞(学術出版部門)を受賞しました。「受賞者」は大学英語教育学会(JACET)会員の著者ということで、岡田伸夫さん、田地野彰さん、鳥飼玖美子さんとわたくしが該当者です。

せっかく賞をくださるというのですから、授賞式(8月29日、広島市立大学、同学会国際大会の一部として)に出席することにしたのですが、あいにく校務などが立て込んでいて、直前に到着、直後(授賞式の終了前)に退席という結果になってしまいました。

そこで、この機会にJACETに対するわたくしの思いを受賞御礼スピーチでお伝えしようと考えました。2分間という制約がありましたので、あまり丁寧な話ができませんでしたが、以下に、その内容を掲載しておきたいと思います。即興のスピーチですので、原稿はありません。したがって、当日の表現とはずれがある部分もありますので、その点、ご承知おきください。

大学英語教育学会(JACET)賞(学術出版部門)という立派な賞をありがとうございました。

賞をいただいたお礼にJACETに対するわたくしの率直な思いを2分間でお伝えしたいと思います。

JACETとの最初の触れ合いは70年代のことでした。後に廃学となってしまう東京教育大学の学部生として言語獲得に関する卒論をまとめたばかりのころ、八王子セミナーハウスで開かれた、JACETの夏のセミナーに、当時、言語獲得研究の先導役の1人であったシカゴ大学のDavid McNeill教授が講師としてやってくることを知り、小池生夫先生に参加の希望をお伝えしたところ、特別に参加を許され、セミナーハウスへ2週間、毎日通いました。このセミナーに参加したことで、言語の認知科学を志す気持ちが固まりました。その意味で、JACETには認知科学の世界に誘っていただいた恩義を感じています。

MITで学位取得後の80年代、JACETの大会には毎年のように参加しました。しかし、当時のJACETの活動は長老の先生がたが先導されており、本来、学会活動を支えるべき学部生や院生、それに、若手教員たちは運営の下働きをしている姿が目立ちました。その状況に危機感を覚えたわたくしは若手を刺激すべく、数年続けて、ワークショップなどを企画し、若手の積極的参加を促しましたが、多くの若手の参加は得られたものの、自ら、学会の在り方に対して意見を述べる若手は育ちませんでした。

そうした状況と対照的であったのが、日本認知科学会や日本英語学会でした。わたくしは国内での学会活動の拠点をそちらに移し、認知科学会では会長を、英語学会では副会長を務めました。

その後、日本の英語教育が妙な方向へ動き出す(わたくしたちの認識では「破綻」へとまっしぐらに向かう)なか、JACETの一部地方支部に若手を中心とした新たな動きがあることを知り、とても心強く感じました。

そんななかでの今回の受賞はこのうえなくうれしい。

JACETに対する、わたくしなりの考えを率直に述べさせていただくと、今後、JACETは体制を支える学会から、英語教育を健全ではない方向に向かわせようとする力と闘う学会へと脱皮していただきたい。そのような努力に対してはわたくしも及ばずながら力になりたいと思います。

かなり大胆な内容のスピーチでしたし、加えて、このスピーチの直後、会場を去り、懇親会で会員の方々とお話をする機会がなかったこともあり、多くの方々からメールをいただきました。その多くは若手・中堅の会員の方々からのもので《あのような形で自分たち若手の活動を励ましてくださり、感動した》という内容がほとんどでした。

ここ数年はJACETの大会にもあまり参加していませんが、今回の受賞を機に、考えを変えてみようかなと思い始めています。

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