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すばらしい英語学習書2冊

更新日:2020年3月21日


 すばらしい英語学習書2冊が相次いで刊行されました。一冊は田尻悟郎さんの『英文法 これが最後のやり直し!』(DHC)で、もう一冊は田地野彰さんの『〈意味順〉英作文のすすめ』(岩波ジュニア新書)です。  すぐれた英語教師であると同時に、卓越した英語の使い手でもあるお2人が書いた本です。期待が膨らみますね。実際、読んでみても、その期待は裏切られることはありません。  この2冊に共通しているのは、「語順」の重要性を説いている点です。しかし、その語順をどう料理するか、これは(表面的には似ていても)だいぶ違います。同じ食材でも、調理する料理人が違うと、まったく違った趣の料理になるのと同じです。  田尻さんには『自己表現お助けブック(改訂版)』(教育出版)という中学生向けのすばらしい教材があります。今回の本は同じ視点から英文法を解説したものですが、「これが最後のやり直し!」という副題からも想像できるように、中学生用に書いたものではありません。大学生やおじさん・おばさんたちが「もう一度、学んでみよう、英文法!」と思い立ったときに役に立つように書いてあります。最近は、「中学英語をxx時間で復習する本」といったものもたくさん出ていますが、この本は一味も、ふた味も違います。  あ、さきほど、「書いてある」と言いましたが、この本には3枚のCDがついていて、田尻さんの声を聴きながら勉強できます。最初は、田尻節もちょっとすました感じで抑えてありますが、徐々に本領発揮となってきます。  もちろん、中学生が読んでも勉強になります。とくに、中学3年生が復習用に読むとよいと思います。


 田地野さんの本は岩波ジュニア新書に入っていますので、主として、中学生や高校生向けに書かれたものです。田地野さんには『「創る英語」を楽しむ』(丸善ライブラリー)という著書があります。そこで展開されている「意味順」という考え方をさらに発展させ、中高生にもわかるように書き下ろしたのがこの本です。とてもわかりやすく書かれていて、読みやすく、しかも、200ページ足らずの本ですので、ちょっとがんばれば読み通すことができます。でも、この本に書いてあることを頭の中に定着させるためには、何度か読み返すことをお勧めします。  英語の先生方や英語教育を専門にしておられる研究者の方は、この2つの本を読み比べて、それぞれの著者の「語順観」はどのような基盤のうえに築かれているのかを考えるとよいと思います。そうすることによって、英語という個別言語の性質やことばの性質についての認識を深めることができます。  宣伝になりますが、9月10日土曜日に慶應義塾大学日吉キャンパスで開催予定の学習英文法シンポジウムには田地野さんを講師のお一人としてお招きしていますので、いろいろと意見の交換をしたいと今から大いに楽しみにしています。 【追記】田尻さんから直接教えてもらった誤植情報を書き添えます。 P.9 この本で使用する記号  ○と□:名詞 → ○:形容詞、□:名詞

P.16 まん中あたり  『だれ何が/は』は名詞や代名詞… → 『だれ何』は名詞や代名詞…

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