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中学校用の新しい英語教科書

更新日:2020年4月9日


来春から中学校で使われる教科書の検定が終わり、その中身が公表されました。昨日(4月7日)づけの朝日新聞の教育面に英語の教科書に特化した記事が載りました。


【追記:この記事は有料記事なのですが、現在は無料登録をすると読める状態になっています。https://www.asahi.com/articles/DA3S14432337.html?iref=pc_ss_date


この記事に、検定に合格したすべての教科書に目を通して感じたことを述べたところが掲載されています。「語彙も文構造も盛りだくさんで、現行の教科書より難易度がかなり高くなっている。教科書間でレベルの差があるが、説明が少ないものが目立つ。これで果たしてどれだけの生徒がついてこられるのか疑問だ。生徒たちは小学校の英語の教科化で英語嫌いになったうえに、中学校でも立ち直れず、二度つまずきかねない。不安になって塾に行く子が増え、経済的に行けない子との聞で格差が聞きそうだ」。


若干補っておきたいのが、「教科書間でレベルの差があるが、説明が少ないものが目立つ」という部分です。前段は文字どおりで、もっとも易しいと思われる教科書ともっともむずかしいと思われる教科書ではずいぶんと差があります。たとえば、朝日新聞の記事でも「長文化」が指摘されていますが、500語を超える英文を載せている教科書もあれば、300語程度で抑えている教科書もあります。後段の「説明が少ないものが目立つ」の部分で伝えたかったのは以下のことです。各教科書とも各課で取り扱っている文法事項などについての説明(メタ的解説)が載っていますが、その説明だけ読んでも理解できない生徒たちが少なからずいるのではないかという危惧を抱きました。もちろん、「教科書を教える」のではなく、「教科書で教える」のだから、教科書の説明はそれだけで完結するものではないのだということは承知の上でのことです。


さて、3月24日に掲載されたNHK WEBの関連記事にはこう書かれています。

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英語は、読む、聞く、話す、書くのいわゆる4技能を意識して、コミュニケーションを重視した構成です。[改行略]そのため、すべての教科書会社が今回初めてQRコードを採用し、タブレット端末などで読み込むと会話の音声などが流れるようになっています。[改行略]教科書会社の担当者は「文法を形として覚えるのではなく、場面や目的に応じて実際に使うことが重要だ。生の音声に触れることで、音から文字につなげる学習になると思う」と話しています。(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200324/k10012347311000.html)

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ことほど左様に、新しい教科書にはさまざまな工夫が凝らされています。ただ、それが生徒のことばの力を育成するのにどの程度、役立つものなのか、わたくしにはよく理解できません。


朝日新聞の同じ紙面にコメントが掲載された松本茂さんによると、「様々な活動を通して生徒の考えるカや即興でやり取りする力を育て、文法の定着も図ろうとしている」ということですが、新しい教科書でほんとうに「考える力」が育ち、「文法の定着」が実現されるのでしょうか。


小学校の学習指導要領にかなり明確に姿をあらわした複言語主義ですが、今回の中学校の教科書ではかなり希薄になります。中学校の学習指導要領自体がそうなのですから、それに即して作られた教科書がそうなるのは無理もないことです。ただ、せっかく、英語教育に大きな風穴をあけるべく用意された複言語主義ですので、なんとか根づかせたいと考えています。一般社団法人ことばの教育をその起爆剤にしたいと思います。

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