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冚田祐䞀さんの事実誀認を正す

「囜際教育ナビ」ずいうサむトの「教育トヌク「英語教育の開拓者に蚊く」シリヌズ」で冚田祐䞀さんず五十嵐矎加さんの「スペシャル察談」が回に亘っお掲茉されおいたす。


その「埌線」第回の最埌の郚分「これからの時代の英語教育で育成する「論理的思考」に぀いお」にわたくしの蚀語教育プログラムに぀いおの冚田さんの芋解が開陳されおいたす。


率盎に蚀っお、この芋解は事実誀認です。幞い、この点に぀いおは察談者の五十嵐さんが関係する文献を挙げお、誀解であるこずを指摘しおくれおいたすが、重芁な問題ですので、ここで改めおわたくしのこずばで論じおおきたいず思いたす。


冚田さんはこう蚀いたす。


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前略珟圚、倖囜語教育の䞖界で人々の関心を集めおいる前述のPlurilingualism 耇蚀語䞻矩ず、倧接先生のおっしゃっおいる「メタ蚀語胜力」を察比した堎合、どちらが「これからの時代に必芁か」を考えるず、私には、耇蚀語䞻矩の考え方のほうが重芁に思えたす。

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ここで冚田さんは耇蚀語䞻矩ず「メタ蚀語胜力こずばぞの気づき」を察比させおいたすが、これは範疇ミスです。耇蚀語䞻矩は文字どおり「䞻矩」、「考え方」であるのに察しお、「メタ蚀語胜力」は認知胜力の䞀郚です。耇蚀語䞻矩ず察比させるのであれば、「「メタ蚀語胜力」を重芁な芁玠ず考える、わたくしの蚀語教育プログラム」でないず困りたす。


じ぀は、近幎、わたくしは自分の蚀語教育芳を「日本型耇蚀語䞻矩」ず呌んでいたす。ここで重芁な点は、もずもずの耇蚀語䞻矩は欧州の蚀語土壌をもずに生み出された考えであるので、それを蚀語土壌が異なる日本にそのたたあおはめようずしおはならないずいう点です。


ここで、もずもずの耇蚀語䞻矩に぀いおその基盀ずなる考えを明確にしおおきたしょう。耇蚀語䞻矩は共同䜓の構成員個人のひずりひずりが耇数の蚀語母語に加えお、䞀぀ないしは望たしくは耇数の蚀語を身に぀けおおり、か぀、その耇数の蚀語が有機的に関連づけられおいる状態耇蚀語状態をよしずする考えです。蚀語は文化ず切っおも切り離せないものですから、耇蚀語䞻矩は耇文化䞻矩ず衚裏の関係にあるず蚀っおもかたいたせん。


この考えは欧州ずいう、倚皮倚様な蚀語ず文化が共存し、か぀、軍事・政治的、経枈的、瀟䌚的、文化的接觊が日垞的に行われおいる地域を背景に生たれおきたものであるこずを忘れおはなりたせん。近幎、倚蚀語化・倚文化化が急速に進み぀぀あるずはいえ、日本の状況は欧州の状況ずは根本的に異なっおいるのです。


わたくしは、有機的に関連づけられた母語を含む耇数の蚀語が個人の内郚に共存するこずを目指すこずは蚀語の盞察性さらには、文化の盞察性を実感するためのきわめお有効な手段であるず考えたす。ず同時に、日本の蚀語状況を考慮するなら、぀ぎに述べる段取りで蚀語教育を進めるこずが重芁であるず䞻匵しおきたした。たず、母語を䜿っおメタ蚀語胜力の発達を促進し、その䞊で、そのメタ蚀語胜力を利甚しお倖囜語を孊ぶ。この段階で孊習者は母語ず倖囜語ずいう、同質でありながらそれぞれの個別性を持぀぀の窓を手に入れるこずになり、メタ蚀語胜力のさらなる発達が期埅できる。こうしお発達したメタ蚀語胜力は母語ず倖囜語の効果的な運甚に必芁な基盀を提䟛するこずになる。同時に、こうしお次第に豊かになっおいったメタ蚀語胜力は母語の語圙や衚珟を䞀段ず拡充しおいくこずに぀ながる。わたくしはこのような埪環サむクルの圢成こそが蚀語教育が目指すべき姿であるず考えおいるのです。


この考えは耇蚀語䞻矩の考えずその基盀においお倚くの点を共有したすが、欧州由来の耇蚀語䞻矩ずは異なる郚分も倚いので、「日本型耇蚀語䞻矩」ず呌ぶこずを提唱し始めたのです。


珟状の孊校教育では、囜語教育においおメタ蚀語胜力の発達の支揎ずいう考えが定着しおおらず、結果ずしお母語の運甚胜力の䜎䞋を始め、さたざたな問題が生じおいたす。倖囜語教育においおも、倖囜語孊習の基盀ずなるべきメタ蚀語胜力が十分に発達しおいないうえ、近幎の「コミュニケヌション」指向の英語教育においおは「実甚的な」定圢衚珟などの孊習に倚くの時間ず゚ネルギヌが割かれおおり、真の意味での運甚胜力が育成されおいたせん。たた、メタ蚀語胜力の育成ずいう芳点からは孊習察象倖囜語ずしおほずんどの堎合、英語ずいう決たった単䞀蚀語が遞ばれおいるこずに加え、倧孊などにおいおも第二倖囜語の孊習機䌚が以前に比べ激枛しおいるこずも問題です。


日本型耇蚀語䞻矩に぀いおは名称はずもかく、考え方は五十嵐矎加さんが玹介しおくれた鳥飌玖矎子・倧接由玀雄・江利川春雄・斎藀兆史・林培2017『英語だけの倖囜語教育は倱敗する---耇蚀語䞻矩のすすめ』ひ぀じ曞房のほかにも、冚田さんの論考も再録されおいる、倧接由玀雄・亘理陜䞀線2021『どうする、小孊校英語---狂隒曲のあずさき』慶應矩塟倧孊出版䌚をはじめ、倚くの線著曞や論考で繰り返し述べおきたずころです。

ここたで述べおきたずころで、以䞋の冚田さんの発蚀が事実誀認であるこずが明らかになったず思いたす。


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倧接先生が䞻匵されおいる「母語 vs倖囜語」ずいう「二項察立的考え方」ず「耇蚀語䞻矩」の決定的な違いは、倧接先生が「母語」に執着しおいるのに察しお、「耇蚀語䞻矩」は、「3぀以䞊の耇数の蚀語を䜿うこず」を重芖しおいる点にありたす。

私は、倧接先生のように「母語」にこだわりすぎるこずに぀いおは、賛成するこずができたせん。なぜなら、「母語重芖䞻矩」を、極床に掚し進めおしたうず、結果ずしお「日本語もどんな蚀語よりも倧事」ずか「日本文化はどんな文化よりも倧事」ずいった、母語偏重䞻矩や母囜偏重䞻矩を芜生えさせおしたう危険性があるからです。

たた、日本のような状況で「日本語 vs 英語」ずいった察立的な比范を匷調しおしたうず、「倖囜語英語」ずいった「誀った認識」を孊習者がもっおしたう可胜性が出おくるので泚意すべきです。前述の䞉蚀語教育政策が、2぀ではなく3぀以䞊の蚀語を教えるこずの意矩を重芖しおいるのも、そうした「誀解」を孊習者にもたせないようにするためです。

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どうしお冚田さんはわたくしが「「母語」にこだわりすぎ」おいるず感じられたのか、その原因は、䞊に曞いたこずからお分かりいただけるように、日本型耇蚀語䞻矩にもずづく蚀語教育プログラムは母語を利甚したメタ蚀語胜力発達支揎を出発点ずしおいるこずにあるのではないかず掚察したす。


これもこれたで繰り返し述べおきおいるのですが、日本型耇蚀語䞻矩にもずづく蚀語教育が母語を利甚したメタ蚀語胜力発達支揎を出発点ずしおいるのは母語に察しおは盎感intuitionが効くからです。子どもには孊霢に達するかなり以前から母語に察する盎感が芜生え、それを利甚しおメタ蚀語胜力を発達させおいきたす。孊校教育においおも、この盎感を倧切にしよう、しなくおはならないずいうのが基本的な発想です。


さらに蚀えば、母語は思考を支える重芁な基盀です。蚀語教育においお母語の重芁性を孊習者に気づかせ、孊習者が母語を倧事にするよう支揎するこずはなににも増しお重芁なこずです。


この考えにもずづき、日本型耇蚀語䞻矩では母語を倧事にしたす。しかし、倧事にするこずずこだわり過ぎるこずはたったく別のこずです。


最埌に、小孊校英語ずの関連で䞀蚀付け加えおおきたす。ご存知の方も倚いず思いたすが、わたくしは䞀貫しおそれが掻動型であれ、教科型であれ小孊校英語に反察しおきたした。しかし、結果ずしお、珟圚では小孊校䞭孊幎で倖囜語掻動珟実的にはほずんど英語掻動、高孊幎で倖囜語科珟実的にはほずんど英語科が導入されおしたっおいたす。それがどんな問題を匕き起こしおいるかはここで繰り返す必芁はないず思いたす。


しかし、珟実に小孊校英語が導入されおしたっおいるからにはただ「反察」ず叫んでいるだけではどうにもなりたせん。珟状に察凊するためには、①小孊校の囜語の時間にメタ蚀語胜力の発達支揎を導入するこずず、②小孊校の倖囜語掻動ず倖囜語科に日本型耇蚀語䞻矩の考えを導入するこずが必芁です。ありがたいこずに、いずれに぀いおも、この考えに賛同し、教宀での実践に取り組んでくださっおいる小孊校の先生がたがいたす。


具䜓的な䟋を䞀぀だけ挙げおおきたしょう。北野ゆきさんず倧山䞇容さんらが守口垂立さ぀き孊園で行った授業実践です。぀ぎのサむトに掲茉されおいる実践䟋などを参照しおいただければ幞いです。

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