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売れ行き好調の英文解釈本

更新日:2020年3月20日



文法訳読とか、英文解釈とかがすっかり悪者扱いされている昨今ですが、昨年7月に研究社から刊行された、北村一真『英文解体新書—構造と論理を読み解く英文解釈』という本が売れに売れているといいます。それに先んじて昨年5月末にアスクから出版された、倉林秀男・今村楯夫『ヘミングウェイで学ぶ英文法』も売れ行き好調で、昨年暮れにはその続編も出ました。折も折、1959年に文建書房から刊行され、名著の誉れ高い、朱牟田夏雄『英文をいかに読むか』の新装復刊版が昨年8月に研究社から出ました。




英文解釈の指南書は数多くありますが、(復刊である朱牟田本は別にして)『解体新書』や『ヘミングウェイ』はレイアウトの工夫も施され、いわば今風の体裁で、若い読者にも近づきやすいのでしょう。


もっとも今風なのは単に体裁だけでなく、説明の仕方もそうで、体系的に調査したわけではありませんが、伊藤和夫の著作やその教え子であった入不二基義の『〈思考する〉英文読解』 (駿台文庫、1993年)などと比べると、前提としている文法知識の設定がかなり低めになっているように感じます。


いずれにせよ、外国語として英語が使えるようになるにはこうした分析的な解析が不可欠であることを知る人は知っており、その訓練に余念がないという事実は心得ておいたほうがよいと思います。耳障りのよい謳い文句に誘われて、こうした努力を怠ってしまうと後悔することになりますから。


私事ですが、わたくしは中学受験で立教中学校へ入ったので、大学受験というものを経験していません。そのことが立教高校にいるころから大いに気になっていました。ことに、英語については語彙にしても、文法にしても大学受験を受けて入ってくる人たちにかなわないのではないかと思い、当時、多くの受験生が聴いていた「大学受験ラジオ講座」(通称、ラ講)を聴いたり、赤尾の豆単を使ってみたりしました。それほど徹底して勉強したわけではありませんでしたが、そのことが後々、大いに助けになりました。

【追記】いやあ、この話題への関心がこんなに高いとは想像もしませんでした。上記を書き込んでまだ4時間足らずなのですが、閲覧数が400を越えました。  上に書き忘れたのですが、『ヘミングウェイ』を読むと、文章における「論理」を理解するのに文学作品は優れた素材であることが理解できます。このことは三森ゆりかさんが以前からずっとおっしゃっていたことです。今度の学習指導要領の改訂で高校の国語に「文学国語」と「論理国語」という2つの教科が導入され、両者が対立する(ような)扱いになっていることに問題があることがこれで理解できると思います。

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