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脱TOEIC

更新日:2020年3月21日


お気づきの方も多いと思いますが、『週刊東洋経済』6月2日号が「脱TOEICの英語術」という特集を組んでいます。「TOEICばかり勉強しても英語は上達しない。では、どう勉強すべきか。「話す」「書く」力を磨くための最強の勉強法を紹介する」という趣旨の特集です。


すでに一部ではかなりの話題になっているようです。内容は大きく2つに分かれ、

1 TOEIC批判(このテストが測るべき英語力を正しく測っていない、など)

2 ビジネス文脈で必要な英語力をつけるにはどうしたらよいのか


2については、いろいろな立場の人のそれぞれの主張が掲載されているだけなので、これといって新味はありませんが、1については『週刊東洋経済』という影響力の高い媒体がTOEIC批判にこれだけの紙面を割いたことの意味は大きいと考えます。 こんな調査の紹介もあります。

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日立製作所で33年間エンジニアを務めた平井通宏・神奈川大学非常勤講師は、1620名のデータを基に、TOEICスコアと「話す」「書く」能力の相関を調査した。


「話す」「書く」能力の指標として使ったのは、欧州で人気の英会話ビジネス検定「BULATS(プラッツ)」。プラッツのスピーキング・ライティング試験でレベル3以上であれば、国際ビジネスで要求される”発信力”があるとされる。


調査の結果判明したのは、両者の相関関係の低さだ。TOEIC800点以上の人の56%は話すカが不足しており、書く力に至っては、70%が必要水準に達しないとの結論が出た。「上級者になるほど、スコアと話す書く能力の乖離が大きくなる」と平井氏は説明する。(p.34)

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学術誌ではないので、調査の詳細は報告されていませんが、仮にその調査が信頼できるものであるとすると、その意味するところは大きいといえます。


公平を期すためでしょう、TOEIC側からの、つぎのような「反論」も掲載されています。


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TOEICを運営する国際ビジネスコミュニケーション協会の梅澤直臣常務理事は、「TOEICを日本


に導入した1979年時点で、両者の強い相関を示す研究結果が出ている」と主張する。ただし、この結果はテスト対策がなかった30年以上前の数字であり、今の状況に当てはまるとは思えない。(p.35。p.37にも関連記事)


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わたくし自身がおもしろいと思ったのは、おそらく『週刊東洋経済』のコメントであろうと推測される「テスト対策がなかった30年以上前の数字であり」という部分です。テスト対策によって、以前は見られた、TOEICスコアと「話す」「書く」能力の「強い相関」が見られなくなってしまう。もしこの観察が妥当であるならば、これまた、TOEICの持つ、新たな問題点となる可能性があります。




この特集記事のせいだろうか、以前、このブログでご紹介した、安井稔先生のTOEIC批判の論考への注目が再び高まっている様子です。

—– 英語力がしっかりと身についている人が、TOEICを受ければ、高い得点を上げることができるが、その逆は真でない。すなわち、TOEICで高得点を上げると、その人は高い英語力が身についているかというと、そうとは限らないのである。(p.22)





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