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「イングリッシュシャワールーム」(【追記】あり)

更新日:2020年3月21日

ネットで新聞を読んでいたら、「イングリッシュシャワールーム」という妙な表現が目に飛び込んできました。気になったので、記事を読んでみると、「日常的に英語にふれることができる場所」のことだそうで、ある県の教育委員会が、中学生が英語を「シャワーを浴びる」ように耳にし、高い英語コミュニケーション能力が身につけられるようにと考えて、県下の中学校に新たに設置を決めたものだそうです。 ここでその趣旨について議論するつもりはありません。問題は「イングリッシュシャワールーム」という表現です。英語の造語法から見て妙なので、英語話者はこの表現を聞いてどんなものを連想するのか興味がありました。まず、勤務先の二人の英語話者に(別々に)尋ねたところ、二人とも「おかしな言い方で、なんだかよくわからない」と言った後で、「が、日本人が作った表現なら、英語をシャワーのように浴びることができる部屋という意味じゃないか」と付け加えました。そして、二人とも、照れたような顔をして、「日本式の英語に慣れちゃったんでね」と言いました。 そこで、アメリカとイギリスの英語話者で、日本と特別の関係がない人たちに聞いたところ、複数の人が「文脈がないとなんだかわからないが、イギリス、ないしは、イギリス人となんらかの関係があるシャワールームのことではないか」と答えました。 さらに、アメリカ在住の日本人(アメリカの大学で社会言語学を教えている)とカナダ人の夫妻は「帝国主義時代、インドなどでイギリス人しか入れなかったシャワールームとか?」という名答(?)をひねり出してくれました。でも、最後には、「大津先生の質問だから、日本の英語教育で、英語をシャワーのように浴びる、immersion educationを指しているのかも?」というところまで達したそうです。 この記事の目的は、この表現のつたなさをあげつらうためではありません。1つには、せっかく、税金を使って、こういう試みをしようというのですから、英語話者に「イングリッシュシャワールーム」という表現の響きについて確かめておくぐらいことはしたほうがよかったのでないかということを指摘するため、もう1つには、和製英語に対しても、その種の表現にある程度触れていると、直感がきくようになるという、少なくともわたくしにとっては興味深く感じられたことを皆さんにもお伝えするために書いたものです。 なお、「世界の英語たち」のご時世、「イングリッシュシャワールーム」というのは日本式英語として立派なものだというお考えのかたもおいででしょう。ぜひご意見をお聞かせいただきたいと思います。 【追記(2013年5月13日)】Facebookにこの記事のことを書いたら、いろいろと反応がありました。 http://www.facebook.com/yukio.otsu/posts/464937893582982?comment_id=3330053&notif_t=like

明海大学でも、英語話者が常駐して学生が自由に英語を使える場所があります。その名前はEnglish Speaking Salon、略して、ESSです。

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