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けさの産経新聞配信記事 vs  安井稔先生のご新著

更新日:2020年3月21日

【2013年3月22日と23日に追記しました。】

何人かのかたから、産経新聞配信としてYahoo!ニュースに掲載されている記事のことをお知らせいただきました。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130321-00000074-san-soci

見出しには「大学受験資格にTOEFL 自民教育再生本部、1次報告へ」とあります。「自民党の教育再生実行本部(遠藤利明本部長)が国内全ての大学の入学試験を受ける基準として、英語運用能力テスト「TOEFL(トーフル)」を活用する方針を固めたことが20日、分かった。月内にまとめる第1次報告に明記し、夏の参院選の政権公約に盛り込む」とのことで、「対象は、全ての国公立大学と私立大学。大学の学部ごとに点数基準を定め、クリアした者に受験を認める」としています。

—————————- 【追記】(2013年3月22日)けさの読売新聞ネット版にも同趣旨の記事が掲載されています。 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130321-OYT1T01536.htm?from=top なお、上記、産経新聞関連の元記事は以下で閲覧できます。 http://sankei.jp.msn.com/life/news/130321/edc13032101310000-n2.htm —————————-

きちんとした反応をするためには「第1次報告」をまたなくてはなりませんが、これまでにも、「楽天の三木谷浩史社長兼会長は21日、自民党本部で開かれた教育再生実行本部で「英語ができないため日本企業が内向きになり世界の流れに逆行している」などと指摘し、大学入試の英語試験にTOEFLテストを導入することや実用英語教育の強化などを提言した。これに山谷えり子参院議員が「(大学入試でのTOEFL導入は)突破口になる。第2次安倍内閣で実現する」と賛同。出席者の意見は次第に熱を帯び、「参院選で英語公用語化を訴えるべきだ」などという意見も飛び出ていた」という記事(http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130221/stt13022122450008-n1.htm)もあり、上述の「方針」が打ち出されたことは(仮に事実であっても)さして驚くことではありません。

問題は、学校英語教育の意義に立ち返って、大学受験資格にTOEFLを導入するということがどのような意味を持つのかということがきちんと議論されたかどうかです。だが、そんなことばかり言っているからいつまで経っても日本の英語教育は変わらないのだという声がすでに聞こえます。

【追記】(2013年3月23日)このTOEFL問題、本質を考えないで、表面的なことばかりに注目していると、じつはTOEFLはあて馬でとかということになりかねません。TOEFLがある種の英語力を測るためにかなり洗練されたテストであるということは明らかです。問題は、その「ある種の英語力」が日本の大学入試、あるいは、学校英語教育とどんな関わりを持つのかという点です。ここを議論しないと、肩すかしを食うおそれがあります。


上述の記事が配信されたきょう(2013年3月21日)、安井稔先生のご新著『ことばで考える—ことばがなければものもない』(開拓社)が手元に届きました。最近の思考の跡がきちんと残された重要な書物ですが、その第Ⅱ部が「英語教育論」です。章名だけを列挙しても、「役に立つ英語について」「英会話上達法」「社内公用語としての英語について」「「英語による英語の授業」について」「学習英文法への期待」「情報の伝達をこととしない発話について」「英語教育展望」と、ぜひ読みたいと欲をそそられます。

どうして、これだけの違いが出てくるのでしょうか。わたくしにはその答えはきわめて単純であるように思えます。英語の怖さ、ことばの怖さをどれだけきちんと理解しているか、その度合いの違い、それに尽きます。

安井先生のご新著には、「幸福論から見たフロー理論について」、「来し方を顧みる」「わが著作物をたどる」「生活の中から(創作詩)」などの章が第Ⅲ部「現代英語再考」の5章とともに収められていて、安井ファンはもちろんのこと、英語、ことば、教育に関心を持つすべての人々にお勧めしたい。

【付記】 内田樹さんの以下の論考も併せてお読みになることをお勧めします。 http://blog.tatsuru.com/2013/03/19_0907.php

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