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小学校英語—毎度のことですが、冷静に 【付記10/24/139:37am】

更新日:2020年3月20日

きのう(2013年10月23日)は新浦安、三田、西新宿とめまぐるしく移動していたのですが、先々で「とうとう、教科化になってしまいましたね。大津さん、どうするんですか?」と聞かれました。


日経が「小学英語授業、3年生からに前倒し 文科省検討 —5年生から正式教科に」という見出しで、そして、読売が「英語授業は小3から、5年生から正式教科に」という見出しで、小学校英語の問題を大きく取り上げたからです。今朝になってみると、朝日新聞も「英語授業、小3から 小5で正式教科に 文科省方針」という見出しで記事を掲載していることがわかりました。他紙でも関連する記事が掲載されています。

どの記事も同じことが書かれているように感じられるかもしれませんが、少なくとも印象は違います。記事が一面に掲載されたり、Yahoo!ニュースが配信したりしたので、ネットからは読売の記事が広く読まれているような印象を受けます。

読売はこう伝えています。「文部科学省は、小学校の英語教育の開始時期を現行の5年生から3年生に引き下げ、5年生からは正式な教科にする方針を決めた」。これを読んだ人の多くは、《あ、小学校英語の教科化が決まったんだ!》と思うでしょう。

日経の記事に目を転じます。「文部科学省は23日、正式な教科ではない「外国語活動」として実施している小学校英語の開始時期を現在の5年生から3年生に前倒し、5年生からは教科に格上げする検討を始めた」。大分印象が違います。かたや「方針を決めた」、かたや「検討を始めた」ですからね。

日経は続けます。「来年度以降、中央教育審議会で協議したうえで、学習指導要領の改訂作業に着手。2020年度までの実施を目指す。(改行)ただ、教科化の実現には授業時間の確保や指導体制の整備などの課題もあり、教育関係者には「日本語教育を優先すべきだ」との意見もある。制度設計には曲折もありそうだ」。

ここまで読めば、《あ、小学校英語の教科化が決まったんだ!》というわけではないことがわかります。冷静に考えれば、小学校英語を教科にするなら、学習指導要領を改訂しなくてはなりません。中教審、ことに、外国語教育部会の審議も経るはずです。(理念はともかく)少なくとも「制度設計には曲折」があるでしょうね。

英語活動に心血を注いでおられる小学校の先生がたは今回の報道は《いままでの努力はなんだったの!》と当惑されているでしょう。でも、みなさんの前には子どもたちがいます。いまは信念を貫いてください。文科省の中にもそのことをきちんと理解し、少しでも望ましい方法へもっていこうと努力しようとしている人たちがいます。

それにしても、これまでの多くの「観測気球」記事と異なり、多少の時間のずれ(ひょっとしたら、ここに重大な意味があるのかもしれませんが)はあるものの主要紙はそろって報じています。その意味するところを考える必要もありそうです。

最後に、笑ってしまったことが1つ。朝日の記事は「文科省は、東京五輪がある2020年度からの開始を目指している」で終わっています。じつに、含蓄のある文ですね。味わってみてください。

毎度のことですが、冷静に、ぜひ冷静に。

【付記】 Japan Timesも記事を掲載していることがわかりました。英文紙なのでいろいろとおもしろいことがあります。田尻悟郎さんのコメントも載っています。 http://www.japantimes.co.jp/news/2013/10/23/national/required-english-from-third-grade-eyed/#.UmhrnPk558F

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