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慶應言語学コロキアムが開催されました

更新日:2020年3月21日

5月12日に、遊佐典昭先生(宮城女子学院大学)を講師としてお招きし、本年度最初の慶應言語学コロキアムを開催いたしました。遊佐先生には「第二言語獲得研究の新たな展開」という演題で、第二言語(以下、L2)獲得研究のこれまでとこれからについてお話しいただきました。


入力のみでは説明できないL2の知識は、UGが機能することよって得られるものか、もしくは母語の知識によるものか、という問いの答えが、GBからMPへの理論の変遷にともない、かつてほど単純に示せなくなったことを、まず指摘されました。その上で、90年代前後に見られたUGの機能の可能性を探るという研究の方向性を見直す時が来ていると述べられました。今後の展開については、第一言語(以下、L1)獲得とL2獲得の間に根本的違いがあるのかどうかを考えることによって、人間のこころの仕組みを解明したいと主張されました。そしてその一例として、UGの構造依存性が、臨界期以降のL2使用者によっても利用されるのかを、fMRIを用いた実験で確かめるという研究成果をご紹介くださいました。

L2獲得研究には、外国語教育の教授法に軸足を置いた研究、外国語学習者の言語適性についての研究など様々なアプローチがありますが、遊佐先生の講演を通じ、人間のこころの仕組みを解明することを目的としたL2獲得研究のおもしろさを改めて感じました。

ご講演後、L2獲得の分野で博士論文を執筆中の大津研博士課程院生の桃生さんが、論文の一部を報告しました。L2獲得、L1獲得、統語論がご専門の先生方、学生と桃生さんとの熱いやりとりが行われました。

さて、今回のコロキアムでは、L2獲得研究の魅力にどっぶりと浸ることができました。さらにうれしいことに、5月26日に開催される第84回英文学会全国大会にて、再び遊佐先生らによる、シンポジウム「言語理論から見た第二言語獲得研究」が行われます。詳細はこちらをご覧ください。今回のコロキアムでは扱われなかったL2獲得研究と外国語教育の接点について、焦点が置かれる予定です。 また、9月15日、16日に行われる予定の東京言語研究所の集中講義でも、遊佐先生のお話を聞くことができます。これについては、東京言語研究所のホームページで、順次情報が更新されます。

最後になりますが、遊佐先生、お越しいただいた皆様、どうもありがとうございました。

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