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中京大学での公開講座、大成功

更新日:2020年3月21日

以前にこのブログでもご案内した、中京大学での公開講座「コミュニケーションという観点から英語教育についてじっくり考えよう—理論と実践が出会うとき」が先週末開催されました。 http://oyukio.blogspot.com/2010/05/blog-post_13.htm 野村昌司さんの陣頭指揮で見事に運営された会でした。200人は超えていたのでは思われる聴衆のほとんどは最後まで会場に留まり、その雰囲気を楽しんでいました。 まず、中京大学国際英語学研究科創設の立役者、吉川寛さんが「国際英語world Englishes」という考え方と英語教育の関連について端的にまとめてくださいました。国際英語という文脈での「情報交換可能性」についていろいろと考えさせられるお話でした。 田尻悟郎講演の前座としてのわたくしの役割は、田尻実践を支える理論的基盤について主として言語理論の立場から解説することでした。教育のような実践的行為については科学や理論と呼ばれるものに頼りすぎてはいけないというチョムスキーの警告を念頭に置いた上で、あとづけで田尻実践のすばらしさを探るとそこには科学や理論の教えるところとの見事なほどの整合性が見られることを指摘しました。その上で、大切なことは田尻実践を模倣することではなく、田尻実践を支える基盤を自ら築くことが大切で、そのためにはまず好奇心を大切にし、言語感覚を磨こうという話をしました。 主役の田尻悟郎さんの講演はいつものとおり、聴衆を魅了しました。教育に対する整然とした見とおし、つぎからつぎへと絶えることなく飛び出す新しいアイディア、聴衆を飽きさせることのない話術、どれをとっても脱帽ものです。しかし、脱帽しているだけではあまり意味がない。なにかを学びとる必要があるのです。 田尻さんはこんなことを言いました。「英語ノート」は文法シラバスに則って作られた、実質スキル重視の教材であり、使い方を間違えると中学校と同じような授業が展開される。児童が頭を使い、既得知識を駆使しようとする授業を工夫することが大切だと。さらに、現在小学校や中学校で行われている活動には、「ごっこ」や「似非コミュニケーション活動」が多く、コミュニケーション活動には意味のある情報の伝達が必要であると指摘して、それに代わるべき実践の例をたくさん見せてくれました。一部は模擬授業形式をとっての熱演でした。 その後、登壇者による鼎談と会場からの質問に答えるセッションがありました。その末尾に、田尻さんは「言葉は頭と心が動いた時、口が動いて発せられるもの。言外の意味や言葉の裏の真意を感じられる生徒を育てたい」と締めくくりました。 参加できなかったかたに朗報があります。『(英語)授業改革論』に続き、同じ教育出版から『生徒の心に火をつける』が出版されました。田尻実践とそのこころを横溝紳一郎さん(と柳瀬陽介さんと大津)が探ります。田尻さんの肉声も数多く収録されているこの本、お勧めです。 http://www.amazon.co.jp/生徒の心に火をつける―英語教師田尻悟郎の挑戦-横溝-紳一郎/dp/4316802844/ref=sr_1_2?ie=UTF8&s=books&qid=1276470228&sr=8-2

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