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教師のためのことばワークショップ 無事終了

更新日:2020年3月21日

今年度の東京言語研究所夏期特別講座「教師のためのことばワークショップ」(19日~21日)が無事終了しました。この種の企画は今回が3回目になります。受講者は約40名でした。

新しい学習指導要領ではことばの力の重要性が強調されていますが、ことばに関する学問的成果を取り入れた教育実践はあまり多くありません。その状況認識に立ち、研究者が先生がたをことばの世界に案内し、ことばと教育の関連についていろいろと考えを巡らせてみようというのがこの企画の趣旨です。

今回は、鈴木孝夫先生に基調講演をお願いし、鈴木人間学の一端としての言語研究について語っていただきました。鈴木節炸裂で、楽しい時間でした。

本編では、(講義順に)大津由紀雄、上野善道、杉岡洋子、西山佑司の4人がそれぞれ講義80分、ワークショップ80分を担当しました。順に、教育とことば、音声の世界、語の世界、文の形式と意味の諸領域が取り上げられました。各講師による個性豊かな展開はおおむね好評でした。この企画の特徴は単に講義を聴くだけでなく、ワークショップの時間にさまざまな活動をするという点にあります。6人程度のグルーブに分かれての活動は楽しく、有益だったという感想がたくさん寄せられました。

科学の成果が直接、教育に関連づけられるということはまずありえないので、その「関連づけ」をどう行うかが問題になります。これまでのワークショップではこの点については個々の受講者に委ねられていたのですが、(もし来年度もこの企画を継続するなら)それもみんなでいろいろと議論する必要があるように感じました。

じつは、ワークショップ2日目の20日、ちょっと西新宿を抜け出し、駒場へ出かけました。第21期日本学術会議 心理学・教育学委員会・心理学教育プログラム検討分科会と公益社団法人日本心理学会が主催した公開シンポジウム「いま,何故,心理学教育を高校に導入する必要があるのか?」を覗くためです。 http://www.scj.go.jp/ja/event/pdf/130-s-1-1.pdf こちらは2時間のシンポジウムで、現状説明、理論的考察、実践報告までを6人の登壇者が一人10分ずつ話をしました。内田伸子さんの手慣れた進行と長谷川寿一さんと利島保さんの簡潔で的を射たコメントもあり、短時間ながら、とても有意義でした。

せっかく、西新宿を抜け出し、タクシー代も奮発して参加したのですから、多少はシンポジウムに貢献しておきたいと思い、フロアーから「敵に塩をおくる」ということで発言させてもらいました。そのコメントの一つは「教師のための心理学ワークショップ」を企画するということで、ついでに西新宿の宣伝もさせてもらいました。

このシンポジウムについてはいずれまた改めて書きたいと思います。

なお、1回目の記録は『ことばワークショップ—言語を再発見する』として、開拓社から刊行されています。 http://oyukio.blogspot.com/2011/06/blog-post_10.html

【忘れないためのメモ】中学や高校で心理学を教えると言っても、大学での心理学(入門、概論)を棚卸ししただけではあまり意味がない(「あまり」と書いたのは、心理学の場合も(言語学の場合同様)、一般に理解されている「心理学」と実際の「心理学」の間に隔たりがあるので、心理学ではどんなことを取り上げるのかについて、ある程度の知識を授けておくことは受験指導のためにも必要であろうから)。心理学研究の楽しさや奥深さを生徒たちが実感できるやり方が必要である。その点で、池田まさみさんの「中高の心理学出前授業から見た中高生の心理学理解の在り方」という発表は非常に興味深く、大いに刺激を受けた。

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